・冬の花・植物
アオキは昔の家の裏庭にも植えられており、花よりも冬の実のほうがよく目立ち、記憶にある。 長いこと、ありふれた植物と思い心にとめるほどでもなかったが、新宿御苑を見るべき花もなく所在なげにただ歩いている冬の朝、ツヤのある葉の奥にひと群れ、ふた群…
朝アトリエにむかうのに、いつもとは異なる道を通ってみる。坂を下り切って大きな道へ出るとところ、角が三角に切り取られた空き地に、葉を落とした雑木(ぞうき)が4-5本固まって立っている。 ふと見ると、頭上に鳥が群がっていた。 「ムクドリかな。」 …
新宿御苑の「椿の森」で先駆けて咲く赤いツバキ。 ごく普通の、ツバキらしい椿である。 多くの露地(ろじ)の椿は、もう少し暖かくなってから春に盛る花だ。 これは温室のハイドゥンのつぼみ。海棠椿(カイドウツバキ)というらしい。ベトナムのツバキだそう…
この日の朝、新宿御苑に出かけた。 『久しぶりなのであちこちパトロールしなければ♪』 とまずは母子森に足を運ぶ。 細いせせらぎ沿いに歩き、藪を一歩抜けると、黒っぽい集団が遠く池の対岸にひとかたまりになっているのが見えた。 離れていても、こちらに向…
先日、生徒さんから、「家の庭にはカリンの木があって、その実をテーブルの上に置いておくとだんだんといい匂いがしてくる」という話を聞いたので、私もやってみようと思って拾いに行った。 寒いけどすっきりと晴れた青空に、ゴツゴツとした果実がたわわに実…
スイセン、水仙、ナルシス(Narcisse, Narcissus)については、過去何回も書いたので書き尽くした感があるが。 最近ではちっとも新宿御苑に行くチャンスがない。せめて生花店で買い求めた日本水仙の数本をアトリエに活けて、あの、スイセンの広がる林を思い…
夜道につづく常緑の生け垣は、暗い葉の海。 山茶花(さざんか)の花が、白い波頭のように次々と、ぼんやりと浮かんでいる。思い思いの、いくつもの表情で。かたくななつぼみ、横顔、または蕊(しべ)もあらわに。 足を止め、その頤(おとがい)に手をかけて…
スイトピーはもはや春の花ではなくて冬の花なのか?いつもの六本木のお花屋さんに花選びに行ったところ、11月だというのにもうスイトピーが入っていてびっくりした。毎年、正月明けにスイトピーが並んでいるのをお花屋さんで見ると、気持ちが明るくなって…
通勤途中のエキナカの、いつもの週代わり露店ではお花屋さんの出店が始まったばかり。朝、店員さんが忙しそうに花をバケツに入れて並べている。 屋台の花はユリやトルコキキョウなど、ごく普通の花が飾ってあって、あまり興(きょう)をそそられなかったのだ…
夜、住まいについてエレベーターに乗ると、ほのかに香水の残り香が漂っていた。 男性用だ。今風だけど安っぽくない。温かみのある、乾いたウッディバルサムが残っている。もう消えてしまったトップは、多分シャープなハーバルとマリン。 「どんな人がつけて…
スイセンの学名、ナルシス。 自己愛の強い人をナルシストと言い、その言葉のもとが、ギリシャ神話のナルシスとエコーの物語から来ているということは、よく知られた話である。 ほら、自分の姿に見惚れて動けなくなる美少年である。 子供の頃に読んだギリシャ…
カワセミ(翡翠)を初撮影! 先週、アトリエまでの通勤を、新宿御苑を通るコースを選んでみた。 寒いせいか、ほとんど人に会わない。 「今日は日本庭園を通って、母と子の森を抜け、もし時間があったら温室もまわってみようかな...。」 そう思って日本庭園の…
冬の朝に新宿御苑を歩いていると、寒さに自然と足早になる。 それでも視界の隅に、ちらと異な物を感じることがある。 雑木林で立ち止まって見つけたもの。 池の対岸の木の上に、小さなサギ、コサギが蹲(うずくま)っていた。 コサギといってもそれなりに大…
こんなに綺麗な紅葉を見ていると、着物の柄にしたいと言う気持ちがよくわかる。 凍える季節を前にして、一瞬燃え上がる樹木たち。 大正から平成にかけて活躍した作家の宇野千代さんは、着物のデザイナーでもあった。 生涯に11件の家を建てる。 ある庭には紅…
アメジストセージ、メキシカンブッシュセージとも言う。 紫のガクはビロードのような和毛(にこげ)で覆われて暖かそう。 この間のビワの花といい、秋冬もののセーターを着ているようである。 この姿を見るといつもなんとなく、 紫のセーターを着たイモ虫を…
皇帝ダリア。背がとっても高い。 いつもこの花を目にするのは、よく晴れた風の冷たい朝なので、晩秋というよりも冬の初めの花のイメージがある。 堂々とした姿のわりに、花は可愛らしいピンク色。 「ダリア」といえば、小学校の実習だ。 理科室の裏の畑にイ…
紅葉するためには、冷たさに触れなければならない。 葉の生命の終わりは、試練によって彩られる。 水に映る影の方がより鮮やかで、 真実は光の中で色褪せる。 赤と緑、補色がさえざえと見えるのは、芯となる黒い幹があるから。 色に匂いがあるのだろうか? …
枇杷の花の香り 新宿御苑の温室近く、芝生の中に一本のビワの木がある。 きまぐれに道を外れて歩きながら、そのビワの木に向かっていくと、ふんわりと甘い香りが漂ってくる。 そうか、もう花が咲いているのだな。 冬に咲く花 ビワの花は毛布にくるまれて、寒…
帰り道の改札を出たホールで、期間限定の有機野菜の出店があった。 横目で通り過ぎようとして、小さなカボスのようなものが山積みになっており、シークワーサーという名札が目に入った。 3週間ほど前、同じ場所で青い有機レモンと水晶文旦を買ったのだが、同…
まるまると太って、立派な金柑(キンカン)。 昔から、庭木としてよく見ることはあった。 それに、もいで皮ごと(または皮のみ)食べられることも知っていた。 知っていたが、なんとなく敬遠して、今まで生で食べたことがなかったのだが。 小さいころから生…
12月も後半に入って、1ヶ月ぶりの新宿御苑。 もみじ山は最後の紅葉(こうよう)が青空にひときわ映えている。 今年は暖かかったから、色づかないうちに葉が落ちてしまうのではと思ったけれど、この強い冷え込みで鮮やかな紅色に。 こちらは、黄金色。 なにも…
青い青い海の底に、潮流が襞(ひだ)となって、たゆとう中心に沈んだ古い神殿の、丸い翡翠色(ひすいいろ)のドームがいくつも固まり、その周りにはカリアティード(女像柱)が並んで天を支えている、頭上にピンクの飾り支柱が伸びをして。 スカビオサ、セイ…
これは、仏手柑(ブッシュカン、ブシュカン)という。蜜柑の仲間。 実の先が分かれ、細長い指のようだ。 仏さまが手を合わせたような形から名前がついたとされる。 実の食用になる部分はほとんどないので、果皮を利用して砂糖漬けのお菓子にしたり、観賞用と…
ヤツデって、あの、葉っぱが、天狗のもっているようなやつ。 これ、ツボミなのだけど、まるでシャクヤク(芍薬)のツボミのようだ。 しかし、これが見事な変貌を遂げる。 いや、シャクヤクの様に派手な花にはならないので、みごとと言えるのかどうか分からな…
堆肥、その生きている土。 呼吸する土。 冷たい朝に、もくもくと湯気を立てて、ふかふかの土がやってくる。 トラックで運ばれて、小さな山がいくつもできている。 荷台から降ろしたての土は、中に含まれる水蒸気が湯気となって上がっている。 少し落ち着いた…
梅林に訪れているのはツグミ。 冬に渡ってくる小さな鳥だ。 初めて名前を知ったのは中学生の頃読んだ小説、アガサクリスティーの「24羽の黒ツグミ」。 「クリスマスプディングの冒険」という短編集の中に入っている。 「昔はツグミを捕って食べた」という…
これはただのトウガラシではない、内藤唐辛子というのだそうだ。 つやっとしてとてもきれい。 新宿御苑には、当時からある玉藻池(たまもいけ)という日本庭園など見所があるが、まさか唐辛子にまで内藤家の名前がついているとは思わなかった。 この一帯と新…
蝋梅(ろうばい) 梅の香りよりももっと甘い、ロウバイ(蝋梅)の花の香り。 真冬の寒いさなかにも、しっかりと花を咲かせている。 花が一重で中心が赤い、これはロウバイ。 蠟のようにつやのある半透明の花びらは、乾燥した冬の北風に負けない。 梅はバラ科…
サルノコシカケらしい。 らしい、というのは、サルノコシカケという種類のキノコはないらしく、とりあえずこの名前の科でくくっている、ということのようだ。 20センチくらいはありそうな大きなキノコ。ポクっとした木質な感じで、まさに腰掛けられそうだ。 …
ヒーヨ、ヒーヨと鳴く鳥、ヒヨドリ。 冬になると鳥の姿に関心が行くのは、花が少なくなり、木も葉を落とすため見つけやすいのかと思う。 ヒヨドリは秋深くなると、北から南へ、山から里へやってくると云うが、渡りをしないでそのまま居続けるものも多いらし…