パルファンサトリ香水メイキングストーリー
Suiren(スイレン)の香水のできるまで 蓮始華(はすはじめてひらく) 今日、7月12日は七十二節気の小暑次項、「蓮始華(はすのはながひらく)」です。清らかなこの天上の花は、泥の中にあっても汚れません。 前回書いたように、香水の「Suiren(スイレン)…
ジベルニーと睡蓮の香水 モネの庭に触発されてできたSuiren(スイレン)の香り 水面に揺蕩う、露を含んだ睡蓮の花、きらめく陽の光と木影の反射、風とさざなみ…、刻々と変化する表情を眺める、うっとりとしたまどろみの時間。 若いころ、「モネの庭」…
香水、シルクイリスはこうして生まれました シルクイリスのイメージ パルファンサトリには、イリスを主題にした香水が2つあります。 シルクイリス(Silk Iris)とイリスオム(Iris Homme)、先に生まれたのはシルクイリスです。長い間、ミューズとして私の心…
ミズナラ -Mizunara- ⑥ 香料素材 モルト・コアベース 2015年秋、「水楢佳寿久/MIZUNARA CASK」というオーセンティックなバーに入った瞬間に、お店を満たすウッディな香りと、樹齢500年の水楢材のカウンターに魅了され、そしてさまざまなウイスキーの香りの違…
MizunaraCask -ミズナラカスク- ミズナラ⑤ 「ミズナラができるまで」の一部は、昨年の発売後のブログでアップしましたが、一年が経ちさまざまな思い出などもよみがえり、また何回かに分けてお伝えしたいと思います。 きっかけは、「水楢佳寿久/MIZUNARA CAS…
Creating Hyouge/Matcha fragrance People often ask me what comes first - the name or a fragrance. It's really case-by-case. Sometimes I decide upon a theme and the fragrance is formulated as I work towards it. On other occasions, I struggl…
Mizunara-ミズナラ- ④ 水楢の木を探して-3 下へと向かう前に、大沼の湖畔をぐるりと車で巡れば対岸に緑が見える。 しかしそれは、一足先に芽吹いた楓などほかの樹が中心のようだ。黄味が強すぎるし整いすぎている。イメージのなかの、もっと輝くような新緑…
Mizunara-ミズナラ- ③ 水楢の木を探して-2 赤城山の観光シーズンはどこもとても混んでいるらしいが、ゴールデンウィークが終わった雨の日曜日のためか、ほとんど人がいない。 道々、引率の I さんが、縦に裂けた樹皮を指し示し「これが水楢(ミズナラ)です…
Mizunara-ミズナラ- ② 水楢の木を探して 5月に入り、アトリエで仕事をしているとすでに汗ばむような夏日が続いていた。窓の外を眺めながら遠い水楢(ミズナラ)の林を想う。ずっと焦がれたその場所に行く日が近づいていた。 今年の4月の平均気温は21度と、例…
Mizunara-ミズナラ- ①香水の構想 2年半前、初めて「水楢佳寿久/MIZUNARA CASK」というオーセンティックなバーに入った瞬間に、お店を満たすウッディな香りと、樹齢500年の水楢材のカウンターに魅了され、そしてさまざまなウイスキーの香りの違いを体験し、と…
「Hyouge」 Fragrance story ② ひょうげ(旧織部)の香りができるまで よく「名前と香りのどちらが先にできるのですか?」と聞かれるが、その時々で違う。 先にテーマが決まって、香りがその目標に向かっていくこともあるし、出来上がってからしっくりくる名…
「Hyouge」 Fragrance story ①世界のグリーンティノートの変遷 ヴァン・ヴェール(ピエール・バルマン)が1946年に発売されて以来、グリーンタイプはグリーンを強調したり、フローラルやシトラスに振れたりしながら今日まで続いてきた。 その中で、緑茶ノー…
バラ色の雲、ニュアージュローズ Fragrance story 南仏のバラ色の雲、ニュアージュローズという名の香水。 人工的でなく、かといってアロマのようなシンプルなブレンドとも違う。質のよい香料を「過不足なく」丁寧に組み合わせた「処方」、それが命題。 パル…
ハナヒラク、Hana Hiraku 第⑧話<完結> こうして、香水「ハナヒラク」ができる途中には紆余曲折(うよきょくせつ)があり、 2016年10月15日にようやく世に送り出す事が出来たのである。 今朝はお礼がしたくなり、気が付けば新宿御苑の朴(ホオ)の…
チューベローズは肉食系の香りだ。 チュベローズと口ずさめば、名前の音の響きは可愛らしく、白く可憐な姿からは、清らかな乙女を想像しそうだ。 しかしその花に近づき匂いを吸えば、ぽってりと濃厚なミルク・ラクトニック感、アニマリック感があり、 グイグ…
ハナヒラクのドライ感を出しているのはカモミールブルー。 とても個性的な香りのこの香料を、常識外れと言われるような量を入れた。 多量のカモミールに多量のジャスミンをぶつけることで「力(ちから)」のバランスを取っている。 カモミールは小さなキク科…
「ハナヒラク」はホワイトフローラルのこっくりとしたラクトニックな香りと、フルーティな甘さ、味噌や醤油の鹹(しおから)さとドライなアニマルノートが骨格になっている。 この不思議な香りを心地よく表現するために、天然の花の香料を、種類も量も贅沢(…
はなひらく,Hana Hiraku ④香水のネーミング 香りを作るときに、イメージが先ですか?名前?それとも香料から決めていくのですか? そう聞かれることがよくある。 それはどれも正しくて、その時々によるし、両方が追いかけ追い越しながら香りができていくこと…
朴(ほお)の木の学名はMagnolia obovata、(マグノリアオボヴァタ) オボヴァタというのは、ラテン語の「倒卵形」という意味である。 卵を逆さにしたようなこの大きな葉の形から学名は由来している。 この楕円の葉は30~40センチあり、比較すればこの木の雄…
ハナヒラク、Hana Hiraku ,朴(ほお)の木の花② 初夏に咲く朴(ほお)の木の花。 子供の頭くらいはあるこの巨大な花は、 崇高(すうこう)と言ってもいい。 遠くに木の姿が見えるころから、香りはすでに届いている。 あたり一帯に拡散しているのだ。 しかし…
はなひらく、Hana Hiraku 、その時。パルファンサトリフレグランスストーリ-① 凍(い)てついて固くしまった地面の上を、風は漂流し、取り付く島もない。 それは確かに死んでしまったようにみえるけれども、涸れてしまわなければ、過ごせない季節がある。 …
キンモクセイの香水 ソネット Sonnet / osmanthus キンモクセイの季節にはまだ少し早いのですが、今日は金木犀の花を思わせる熟れた黄金桃と一緒に、「ソネット」の写真を撮ってみました。 パルファンサトリのキンモクセイの香り「SONNET (ソネット=…
南フランス、グラースにある植物園では5月にバラが盛りとなる。
南仏のバラ色の雲、ニュアージュローズという名の香水。2011年。