パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

パルファンサトリ香水メイキングストーリー

香水の製作アイデア、香料の選定、背景、ストーリー、完成までのプロセスなどをご紹介します。

パルファンサトリの 「 紫の上 」 リニューアル

2024 年 4 月 1 日、パルファンサトリの 「 紫の上 」 がリニューアル致します! 日本の代表的な古典文学である源氏物語のヒロイン「紫の上」。光る君と出会ったばかりの初々しい若紫(わかむらさき)が、しだいに花開いていくさまをイメージしました…

ノビヤカーNOBIYAKA-イメージスケッチ

ノビヤカーNOBIYAKA-の香料 枇杷(びわ)、AKAITOサフラン®、L-ムスコン(L-muscone)。 ノビヤカなイメージを少しずつ香料に置き換えてまとまっていく過程で、いくつかのイメージ画を描きました。これは最後の方のイメージスケッチです。 サフランの球根から…

「NOBIYAKA -ノビヤカ-」動画を公開しました

www.youtube.com パルファンサトリのプレミアムコレクションから5年ぶりの新作「NOBIYAKA -ノビヤカ-」が2023年4月21日(金)から公式HPにて販売開始。 のびやか -Nobiyaka - PARFUM SATORI Title: NOBIYAKA - ノビヤカ - Production Team: Tetsuya Tatamitani…

ノビヤカ-NOBIYAKA- リフレイン ノート

リフレイン・ノート 蘇る香り 特に夜、家で仕事をしているときです。 夢中でパソコンのキーを叩きながら、手首から時折、思い出すように 「ノビヤカ-NOBIYAKA-」 の香りがふわり、ふわりと上がってくるのに気が付きます。 たぶん、香りはずっと漂っているの…

新作フレグランス発売のお知らせ ノビヤカ-NOBIYAKA- 

パルファンサトリ新作フレグランス「ノビヤカ」 4月21日(金)新作フレグランス「ノビヤカ-NOBIYAKA-」を発売いたしました。 キーノートに枇杷(ビワ)、梅酒、Akaitoサフラン®アブソリュートを配合し、調香師大沢さとりが描く”のびやか”な想いを香りで表現…

ノビヤカ-NOBIYAKA- L-ムスコン

L-ムスコン(L-muscone) L-ムスコンは天然ジャコウのキー成分で光学異性体の天然型のムスク香料です。 L-ムスコンの香りは、香水にエレガントで温かみのあるパウダリーなムスキーノートを与え、プッシュアップしトップからの拡散性を高めます。 ノビヤカ-NO…

ノビヤカ-NOBIYAKA- 梅酒とプラム

ノビヤカ-NOBIYAKA- トップノート のびやかのトップノートには、ビワのみずみずしさに、リキュールの甘さを加えたいと思いました。 最初に浮かんだのはミラベル酒です。 南仏でディナーに招かれた時、食後に「梅酒が飲みたい」と言ったら、ミラベル酒を出し…

ノビヤカ-NOBIYAKA- 外伝 フランスのサフラン料理

サフランのお料理 サフランはフランスでは「スープ ド ポワソン (Soupe de poisson )」と呼ばれる、赤い色のスープにも使われています。 ポワソンの意味は魚。フィッシュスープは南フランスをはじめとする、港町の定番メニューです。 Soupe de poisson す…

ノビヤカ-NOBIYAKA- の想い サフランとの出会い

ノビヤカな想い 息苦しい日々から解放されて、のびのびとしたい! 古い殻を脱ぎ捨てて、新しい世界に踏み出し、適応する。 そんな思いを込めて香りを作り始めました。 最初のアイデアメモには、 「アクアティックフローラルフルーティ、オゾンマリンフルーテ…

ノビヤカ-NOBIYAKA- ビワ

ノビヤカ-NOBIYAKA- のトップノート ビワ 新作フレグランスノビヤカのトップノートには、ビワのフルーティを合わせました。 一年中出回っている果物が多い中、ビワは時期が短くて季節感がありますね。 お皿に乗せてテーブルの上に出されると、子供心にとても…

ノビヤカ-NOBIYAKA-① AKAITOサフラン®

ノビヤカ-NOBIYAKA- のキーマテリアル AKAITOサフラン® 国産のサフランAkaitoサフラン® から抽出したとても希少な香料です。 サフランの特徴的な香りには、心を明るく開放させる効果があると言われています。晩夏、彫り上げたサフランの球根は、土も水も肥料…

Suiren(スイレン)の香りのできるまで②蓮始華(はすはじめてひらく)

Suiren(スイレン)の香水のできるまで 蓮始華(はすはじめてひらく) 今日、7月12日は七十二節気の小暑次項、「蓮始華(はすのはながひらく)」です。清らかなこの天上の花は、泥の中にあっても汚れません。 前回書いたように、香水の「Suiren(スイレン)…

Suiren(スイレン)の香りができるまで①ジベルニー

ジベルニーと睡蓮の香水 モネの庭に触発されてできたSuiren(スイレン)の香り 水面に揺蕩う、露を含んだ睡蓮の花、きらめく陽の光と木影の反射、風とさざなみ…、刻々と変化する表情を眺める、うっとりとしたまどろみの時間。 若いころ、「モネの庭」…

シルクイリスのできるまで。 Silk Iris,

香水、シルクイリスはこうして生まれました シルクイリスのイメージ パルファンサトリには、イリスを主題にした香水が2つあります。 シルクイリス(Silk Iris)とイリスオム(Iris Homme)、先に生まれたのはシルクイリスです。長い間、ミューズとして私の心…

ミズナラ -Mizunara- ⑥ 香料素材 モルト・コアベース

ミズナラ -Mizunara- ⑥ 香料素材 モルト・コアベース 2015年秋、「水楢佳寿久/MIZUNARA CASK」というオーセンティックなバーに入った瞬間に、お店を満たすウッディな香りと、樹齢500年の水楢材のカウンターに魅了され、そしてさまざまなウイスキーの香りの違…

MizunaraCask -ミズナラカスク-  ミズナラ⑤

MizunaraCask -ミズナラカスク- ミズナラ⑤ 「ミズナラができるまで」の一部は、昨年の発売後のブログでアップしましたが、一年が経ちさまざまな思い出などもよみがえり、また何回かに分けてお伝えしたいと思います。 きっかけは、「水楢佳寿久/MIZUNARA CAS…

Creating Hyouge/Matcha fragrance ひょうげ(旧織部)の香りのできるまで

Creating Hyouge/Matcha fragrance People often ask me what comes first - the name or a fragrance. It's really case-by-case. Sometimes I decide upon a theme and the fragrance is formulated as I work towards it. On other occasions, I struggl…

Mizunara-ミズナラ- ④ 水楢の木を探して-3

Mizunara-ミズナラ- ④ 水楢の木を探して-3 下へと向かう前に、大沼の湖畔をぐるりと車で巡れば対岸に緑が見える。 しかしそれは、一足先に芽吹いた楓などほかの樹が中心のようだ。黄味が強すぎるし整いすぎている。イメージのなかの、もっと輝くような新緑…

Mizunara-ミズナラ- ③ 水楢の木を探して-2

Mizunara-ミズナラ- ③ 水楢の木を探して-2 赤城山の観光シーズンはどこもとても混んでいるらしいが、ゴールデンウィークが終わった雨の日曜日のためか、ほとんど人がいない。 道々、引率の I さんが、縦に裂けた樹皮を指し示し「これが水楢(ミズナラ)です…

Mizunara-ミズナラ- ② 水楢の木を探して

Mizunara-ミズナラ- ② 水楢の木を探して 5月に入り、アトリエで仕事をしているとすでに汗ばむような夏日が続いていた。窓の外を眺めながら遠い水楢(ミズナラ)の林を想う。ずっと焦がれたその場所に行く日が近づいていた。 今年の4月の平均気温は21度と、例…

Mizunara-ミズナラ- ①香水の構想

Mizunara-ミズナラ- ①香水の構想 2年半前、初めて「水楢佳寿久/MIZUNARA CASK」というオーセンティックなバーに入った瞬間に、お店を満たすウッディな香りと、樹齢500年の水楢材のカウンターに魅了され、そしてさまざまなウイスキーの香りの違いを体験し、と…

「Hyouge」 Fragrance story ② ひょうげ(旧織部)の香りができるまで

「Hyouge」 Fragrance story ② ひょうげ(旧織部)の香りができるまで よく「名前と香りのどちらが先にできるのですか?」と聞かれるが、その時々で違う。 先にテーマが決まって、香りがその目標に向かっていくこともあるし、出来上がってからしっくりくる名…

「Hyouge」 Fragrance story ①世界のグリーンティノートの変遷

「Hyouge」 Fragrance story ①世界のグリーンティノートの変遷 ヴァン・ヴェール(ピエール・バルマン)が1946年に発売されて以来、グリーンタイプはグリーンを強調したり、フローラルやシトラスに振れたりしながら今日まで続いてきた。 その中で、緑茶ノー…

バラ色の雲、ニュアージュローズ Fragrance story

バラ色の雲、ニュアージュローズ Fragrance story 南仏のバラ色の雲、ニュアージュローズという名の香水。 人工的でなく、かといってアロマのようなシンプルなブレンドとも違う。質のよい香料を「過不足なく」丁寧に組み合わせた「処方」、それが命題。 パル…

ハナヒラク、Hana Hiraku  第⑧話<完結>

ハナヒラク、Hana Hiraku 第⑧話<完結> こうして、香水「ハナヒラク」ができる途中には紆余曲折(うよきょくせつ)があり、 2016年10月15日にようやく世に送り出す事が出来たのである。 今朝はお礼がしたくなり、気が付けば新宿御苑の朴(ホオ)の…

ハナヒラク、Hana Hiraku⑦処方と香料その3 チュ-ベローズTuberose

チューベローズは肉食系の香りだ。 チュベローズと口ずさめば、名前の音の響きは可愛らしく、白く可憐な姿からは、清らかな乙女を想像しそうだ。 しかしその花に近づき匂いを吸えば、ぽってりと濃厚なミルク・ラクトニック感、アニマリック感があり、 グイグ…

ハナヒラク、Hana Hiraku⑥ ,処方と香料absolute&essその2

ハナヒラクのドライ感を出しているのはカモミールブルー。 とても個性的な香りのこの香料を、常識外れと言われるような量を入れた。 多量のカモミールに多量のジャスミンをぶつけることで「力(ちから)」のバランスを取っている。 カモミールは小さなキク科…

ハナヒラク、Hana Hiraku⑤ ,処方と香料absolute&essその1

「ハナヒラク」はホワイトフローラルのこっくりとしたラクトニックな香りと、フルーティな甘さ、味噌や醤油の鹹(しおから)さとドライなアニマルノートが骨格になっている。 この不思議な香りを心地よく表現するために、天然の花の香料を、種類も量も贅沢(…

はなひらく,Hana Hiraku ④香水のネーミング

はなひらく,Hana Hiraku ④香水のネーミング 香りを作るときに、イメージが先ですか?名前?それとも香料から決めていくのですか? そう聞かれることがよくある。 それはどれも正しくて、その時々によるし、両方が追いかけ追い越しながら香りができていくこと…

ハナヒラク、Hana Hiraku ,朴(ほお)の木の葉③Magnolia obovata

朴(ほお)の木の学名はMagnolia obovata、(マグノリアオボヴァタ) オボヴァタというのは、ラテン語の「倒卵形」という意味である。 卵を逆さにしたようなこの大きな葉の形から学名は由来している。 この楕円の葉は30~40センチあり、比較すればこの木の雄…

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