新宿御苑の「椿の森」で先駆けて咲く赤いツバキ。
ごく普通の、ツバキらしい椿である。
多くの露地(ろじ)の椿は、もう少し暖かくなってから春に盛る花だ。
これは温室のハイドゥンのつぼみ。海棠椿(カイドウツバキ)というらしい。
ベトナムのツバキだそうだ。
ベトナムのツバキだそうだ。
椿にしてはごつい。色も少し派手めで南国調である。
そういえば昔、アメリカで交配された椿を見たときも、どれも大づくりでアグレッシブに美を誇っており、日本の凛としたたたずまいとは趣(おもむき)が異なると感じたものである。
その国、その国で求められる理想像、好みによるものなのだろうか。
5年前に温室でこのハイドゥンに会った時、まだ高さ30センチほどの鉢でつぼみはひとつだった。同じ鉢だと思うが、今年は1メートルくらいまで高くなり、花も6-7輪ついていた。
高いところにあるのはまだつぼみ。ひざくらいの高さに、ろう細工のような花が咲いている。
重さに耐えかねて花首を俯(うつむ)けているのを、かがんですくい上げるように下から撮る。
花弁が肉厚でぽってりとしており、日本の椿のような清冽(せいれつ)さはない。
おおらかな笑(え)みの花。