パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

紫のスイートピー(ジャコウレンリソウ)sweetpea

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スイトピーはもはや春の花ではなくて冬の花なのか?
いつもの六本木のお花屋さんに花選びに行ったところ、11月だというのにもうスイトピーが入っていてびっくりした。

毎年、正月明けにスイトピーが並んでいるのをお花屋さんで見ると、気持ちが明るくなって、いっそう春が待ち遠しかったものであるが、年々、出てくるのが早くなっているようだ。

「早いですね、11月にもうスイトピー?」
「そう、まだ出始めたばっかりだからね」


思わず花に近づいて香りを吸う。
甘いはちみつの匂い。爽やかなグリーンハニーフローラル。
スイトピーは、スイートなピー、つまり甘い豆の花である。
和名は麝香豌豆(じゃこうえんどう)で、これもいい匂いのエンドウマメのと言う意味。

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紫のスイートピーに合わせて、紫のマツムシソウ(スカビオザ)も少しもらう。

葉ものはなんかあるかな・・・。春の花に合わせるには枝ものではごつすぎるし・・・。

「この葉っぱはなんですか?」
「素馨(そけい)だよ。黄色い花が咲くよ」
葉が大ぶりだ。黄素馨(きそけい)のことのよう。

素馨(そけい)はジャスミンの漢名で、本来白いジャスミン(Jasminum grandiflorum)と聞いている。その語源は中国の7世紀、南漢王にその名を持つ美しい侍女がいたという。



帰り道の戸外はいよいよと寒く、戻ってきて部屋の温みにほっとする。ガラスの花瓶に活けてビューローの上に置けば、花もみるみる開いてしまう。
活け花というほどではないが、アトリエにはずっと和花を飾っていたから、こんな洋花も、雰囲気が変わって新鮮。



11月はあっという間に過ぎてしまって、きっと今年もあっという間に終わり、正月も過ぎて来年の春もあっという間に来てしまう・・・に違いない。



一足飛びに春が来ないかな、と心待ちにしているのである。





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