先日、生徒さんから、「家の庭にはカリンの木があって、その実をテーブルの上に置いておくとだんだんといい匂いがしてくる」という話を聞いたので、私もやってみようと思って拾いに行った。
寒いけどすっきりと晴れた青空に、ゴツゴツとした果実がたわわに実っている。いつもは地面にごろごろとたくさん転がっているのだが、お正月にきれいに片付けてしまったのか、この日はまったく落ちていない。
ようやく、ちょっと離れたところにひとつ見つけて持って帰った。ちょっといびつな、パパイヤを丸っこくしたような形。
果樹の木って、みているだけで豊かな気分になれるからとても好き。
表面はつるつるしており、手に持つと皮がベタベタする。
パクチーのようだというスタッフもいる。
植物の「カリン」には2種類あって、異なる漢字をあてる。
カリン(榠樝)は食用には適さないが、ジャムにしたりシロップに漬けたり、のどの薬として使われる。
また、近縁種にマルメロ(Marmelo)がある。音でわかるように、マーマレードの語源だそうだ。
この花はカリン(榠樝)と思っていたが、葉のへりがギザギザでないので、近縁種のマルメロかもしれない。
しかしその果実は、若いときからうぶ毛がなくてツルツルなので、やっぱりカリンなのかなと、調べるたびに、マルメロとカリンの違いがよくわからなくなってしまう。
名前はマルメロの方が、いかにもこっくりと甘そうな音で可愛い。
一方、マメ科の花梨(かりん)は木材として、高級な家具などに使われる。そういえば気にも留めていなかったが、「カリン材」などという表記を、家具売り場で見た覚えがある。
通称名やあだ名、俗称など、植物の名前の混乱はよくあって、やはり最終的には学名で判断するしかない。
この、生きていくのにたいして役に立たないようなことを、ああでもないこうでもないと考えているのが楽しかったりするこのごろ。