パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

和のもの、日本の伝統文化について

七夕の朝の一服 Tanabata'Star Festival'

今朝、この茶碗を手に母がそばにやってきて言う。 「お茶を飲み干して、この茶碗の中をじっと見ていると、なんだか宇宙に吸い込まれていくような気がするんだよ」 この茶碗の銘は「天の川(あまのがわ)」。 その名のとおり、瑠璃(るり)色の夜空に、天の川…

インタビュー「道(どう)」と香水③ 香道 Japanese art of fragrance_'Kodo'

「道(どう)」と香水③ 香道 Japanese art of fragrance_'Kodo' 私の香りの特徴は、一言でいえば「乾いている」ということです。甘いグルマン系の香水ならば、米や小豆を原料とするあっさりとした和菓子。バターやクリームのようなコクとは異なります。 たと…

インタビュー「道(どう)」と香水② 華道 Flower arrangement_‘Kado‘

「道(どう)」と香水② 華道 Flower arrangement_‘Kado‘ 私は幼い頃から植物が好きで、学校から家までの帰り道、ポケット植物図鑑を片手に道草をするような子供でした。 母が自宅で華道教室をしていましたので、生徒さんに混ざって見よう見まねでお花を活け…

インタビュー「道(どう)」と香水① Tao & my aesthetics of perfumery

「道(どう)」と香水① Tao & my aesthetics of perfumery 私は幼い頃から茶道、華道を学び、香道にも親しみました。また、日本の伝統文化にも触れて育ちました。 これらの経験が、私のクリエーションにどのように影響してきたか、「道(どう)」についてち…

毎朝の一服  early_morning Tea

茶碗の縁(ふち)の口当たりが、お茶の味を左右する。 よく言われる事だけれども、年を取ってようやく実感するところである。 季節にふさわしい茶碗なら格別の味わい。 例えば、 志野(しの)のふっくらとした口当たりでいただく冬の抹茶。 青磁(せいじ)の…

志野茶碗 Shino ware

母は志野茶碗を三つもっているが、その中の一つ。 陶芸仲間だった出光昭介(いでみつしょうすけ/元・出光社長)氏の作品で、実業家らしい豪快な作風がとても魅力的だと思う。 ただ、私には少し大きくて重いし、手に余る感じがする。 母曰く 「志野は60歳を…

初天神(はつてんじん) 毎朝の一服③ Tenjin (Shinto)

初天神とは、正月25日の、その年初めての天満宮の縁日。落語の演目にもなっている。 母の部屋には、いつもは掛け軸の前に香合があるのだが、今朝は可愛い人形が置いてある。 母は月に2~3回、歳時記にちなんだ飾りつけを変えて楽しんでいる。 「1月25日は…

裏千家初釜式 2016年 Hatsugama (the first tea ceremony of New Year)

毎年1月16日は裏千家の「初釜式」前のお席には安部総理がおいでになる。 今年も家元のお濃茶席で、大宗匠がご挨拶においでになり、90を超えて立ったり座ったりとおみ足もお丈夫。 みなにお元気に声をかけて下さるご様子に嬉しい気持ちがする。アイドルなみに…

半襟をつける neckpiece on a kimono

今日は、遠州流宗家の点初式。 着物は白に「やり梅」の刺繍に、金のつづれ帯を合わせてみた。 これは40年前の母の着物を、20年前に私のサイズに仕立て直した中でも特に気にいっている。 近頃では着物を着る機会がめっきり減って、年のせいか、段取りを忘れて…

母の茶道⑧志野 「卯花墻(うのはながき)」写し The Way of Tea

国宝の志野(しの)茶碗「卯花墻(うのはながき)」の写し・・・のつもりだそうである。 「母の茶道⑦日本陶芸倶楽部」で、母の陶芸道楽について書いたが、これは母の焼いた志野茶碗。下の赤い土がうっすらと透けて、灰色の模様もやわらかな味わいである。 サイ…

母の茶道⑥織部  Oribe

昨日の続きであるが、私が横入りして母のお手前のペースが狂ってしまったため、翌日は「続きお薄(うす)」とは別に、盆点(ぼんだ)てでお抹茶を点(た)ててくれた。 お茶の四方山話(よもやまばなし)は、その場面にならないと出てこないもので、本を読ん…

母の茶道⑤ 朝茶を二服 Chanoyu

茶道で「朝茶(あさちゃ)」、といえば朝のお茶事のこと。 また、「朝茶は二杯」というように、朝のお茶は1杯ではなく、2杯飲むものということわざがあるが、こちらは煎茶のことのようだ。 ここでは「朝に抹茶を飲む」という意味で、「朝茶」ということばを…

カジノキ② 梶の葉のお手前 Broussonetia papyrifera

木の名札を読んで「カジノキ」とあった時、ふとこの葉を使った手前(てまえ)を思いだした。 梶の木の葉は、切れこみが無く卵形のこともあるし、葉が裂けて3つになったり、かしわもちを包む葉の様に5つに分かれることもある。 このカジノキの大きな葉は、茶…

オハギ,ボタモチ,OHAGI,Botamochi

スタッフのH子嬢のお母さまが、手作りおはぎを持ってきてくださった。 黒い塗りの箱を開ける。スタッフから、「わあーきれいー」と歓声があがる。 外がもち米で中が小豆のおはぎはたまに見るけれど、これはさらに、ピンクのお花を模したしゃれた作り。 お味…

織部焼(おりべ)Oribe 香合/ incense case 母の茶道④

これは、織部焼(おりべやき)の香合(こうごう)。 形はギボウシ(擬宝珠)、ニ代目池田瓢阿(いけだひょうあ)先生の作である。 二代池田先生は十年ほど前に亡くなられてしまったが、籠師(かごし)、竹芸家として作品を作られる傍ら、教室も開いておられ…

簡単!抹茶を濾す方法 tea ceremony 母の茶道③

簡単レシピ!調のタイトルにしてみたが、いたってまじめである。 茶道で使うお茶は、普通の煎茶などの茶葉とは違い、碾(ひ)き臼で細かい粉に挽(ひ)いてある。 そのため湿気を吸いやすく、保管したままの状態でお茶をたてると、きれいに溶けないでダマが…

母の茶道② tea ceremony

40代の頃からだから、もう半世紀近くになるだろう。母は毎朝、お薄(おまっちゃ)を自分のために二服(二杯)たてる。 来年90歳になろうとしているが、いまだに元気なのは、ひとえにこの緑のお茶によるものだろう。 部屋の一角に小さなコーナーをしつらえ、…

ほたるかご 蛍篭 HOTARU KAGO 母の茶道①

蛍篭(ホタルカゴ)という意匠の中次(なかつぎ) 薄茶器、抹茶の入れ物の一種。 薄茶器全体が、蛍篭(ほたるかご)を表している。夏草に止まる蛍が、黒い漆の上に描かれ、明滅している。黒に黒なので、遠目には紅い点しか見えない。よく見れば闇の中にも翅…

茶箱(ちゃばこ)tea chest

新しい茶箱(ちゃばこ)が来た。 茶箱とは、お茶の葉を保管しておくための木箱で、中にブリキや亜鉛などの金属が貼りめぐらされている。 湿気を防ぎ、防虫、防臭効果もあると言うことで、昔は大切な着物、衣装やお道具類をこの茶箱にいれてしまっていたもの…

Kiyomasa no Ido at Meiji Jingu

There is a well called Kiyomasa no Ido at Meiji Jingu. The water is transparent and you can see round & smooth stones. Looking into the well.. Seeing those stones, the reflection of green leaves & branches of the trees on the water, I star…

お雛さま おかたづけ Hinamatsuri Imperial dolls

にやり、右大臣くん。 これでゆっくり眠れるわい。 角度によってなのかな・・。 なんかみんなほっとしているみたい。 髪の毛にねぐせがつかないように、撫でつけてから、しまう。 また、来年までおやすみ。 もう、3月4日にはかたづけなくてはならないのだが…

おひなまつり、お供の子たち③三人官女 three court ladies ,Hinamatsuri

官女中「あーやれやれ、ずっと立ってるのって疲れちゃうわ。いいわね、あんたたちは座ってられて」 官女左「ナニ言ってんの、お姐(ねえ)さんだって、夜に皆が帰った後で、おちゃんしてたでしょ」 官女右「ネエ、おちゃんって何?おちゃんって」 官女左「い…

節分(せつぶん) Setsubun

2月3日は節分。 かなり昔になるが1月の終わり、あるところで食事をしながら「もうすぐ節分ですね」という話になった。 私はそのとき節分は年によって違うと思っていたので、 「今年は節分は何日でしたかしら?」 というと、冗談で言っていると思われて大い…

点初式 Hatsugama (the first tea ceremony of New Year)

16日は遠州流御宗家の点初式(初釜)でした。 朝からの雨、しっとりと濡れたお庭がとてもきれいです。 玄関脇には七草の飾りがさりげなくて素敵でした。 この日はグレーに白の綸子(りんず)を着ています。

鎌倉彫 手鏡 麻の葉模様 Kamakura-bori

鎌倉彫の手鏡。 何年か前に私が「麻の葉模様」が好きだと言ったことをずっと覚えていてくださって、鎌倉彫の先生が作ってくださったもの。 花柄とか、ツタ模様のような絵柄は、凝ったようにみえて、少しくらいずれても帳尻を合わせやすい。 でも、麻の葉模様…

銀の桜のお香たてと香筒,携帯用 L'art "d'écouter l'encens

携帯用の銀のお香立(こうたて)と香筒のセット。 1-2年前だったと思うが、某有名デパートの美術展を見た後、同じフロアに和小物を扱ったお店があり、立ち寄ったところ見つけた。 「おお、なんとシャレたものだろう」と早速購入。 それからずっとしまったま…

仏事の指輪 Ring

先日の記事に載せた写真は、仏事用の母の指輪である。 仏事の装飾品には、通常パールやジェットなど光らないものをつけるが、これは木彫りのリング。さして高価なものではないが、悼む気持ちにはふさわしいように思う。 まだ私が十代の頃は、母が弔事の席で…

祖母の櫛 くし comb

この櫛(くし)は祖母のもので、明治か大正のものらしい。 べっ甲に「貝合わせ」の柄の、金蒔絵がしてある小ぶりの櫛。 8.5センチの見た目は小さく、櫛だけで見ると地味なので、今まで使うことがなかったのだが、思いついて巻いた髪の根元に挿してみた。 髪…

折詰弁当 BENTO Japanese cuisine

知人のF氏がひいきにしているお弁当を、お昼に差し入れてくれた。なにしろ美味しいから食べてみて、という。 レトロだが、小ざっぱりした包装紙を開けると「おおっ!」いろとりどりのお惣菜がたくさん入って、なんかとっても期待できそうな感じ。一見すると…

一枚流しあんみつ羊羹 Yōkan

久しぶりに訪れたGさんが、羊羹を持ってきてくれた。ダイエット中・・・とチラと頭をかすめたが、ちょうど夕方の小腹のすく時間、これは食べないわけにいかん!とばかりに早速みんなで頂くことに。 あけてびっくり、箱の中にはなんとあんみつがそのまま一枚…

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