母の茶道
日本に帰ってきてもう2週間になるというのに、まだオランダ便りが終わらないほど、たくさんの体験をした。とりあえずオランダ便りはしばらくお休みして、また日常のことなど書いてみたい。 7月4日、母の毎朝の一服で、可愛い、焼き物の小箱が飾られていたの…
見込みの刷毛目も大胆な、これは金城次郎(きんじょうじろう)作の抹茶椀。 27年前、母が日本陶芸倶楽部の集まりで、沖縄の金城次郎氏の窯に行ったときに、購入したものだという。 今朝は気分を変えて、お抹茶椀を変えてみた。 どちらかというと民芸派はあま…
国宝の志野(しの)茶碗「卯花墻(うのはながき)」の写し・・・のつもりだそうである。 「母の茶道⑦日本陶芸倶楽部」で、母の陶芸道楽について書いたが、これは母の焼いた志野茶碗。下の赤い土がうっすらと透けて、灰色の模様もやわらかな味わいである。 サイ…
この志野(しの)のお茶碗は、古いものの写しではあるが母の作品である。 「志野の茶碗は60歳を過ぎて使うもの、と言われたものだ。今はそんなことあまり気にしないみたいだけど・・・」 そういいながら、母は朝のお茶をたててくれた。 -若い頃には似合わなく…
昨日の続きであるが、私が横入りして母のお手前のペースが狂ってしまったため、翌日は「続きお薄(うす)」とは別に、盆点(ぼんだ)てでお抹茶を点(た)ててくれた。 お茶の四方山話(よもやまばなし)は、その場面にならないと出てこないもので、本を読ん…
茶道で「朝茶(あさちゃ)」、といえば朝のお茶事のこと。 また、「朝茶は二杯」というように、朝のお茶は1杯ではなく、2杯飲むものということわざがあるが、こちらは煎茶のことのようだ。 ここでは「朝に抹茶を飲む」という意味で、「朝茶」ということばを…
これは、織部焼(おりべやき)の香合(こうごう)。 形はギボウシ(擬宝珠)、ニ代目池田瓢阿(いけだひょうあ)先生の作である。 二代池田先生は十年ほど前に亡くなられてしまったが、籠師(かごし)、竹芸家として作品を作られる傍ら、教室も開いておられ…
簡単レシピ!調のタイトルにしてみたが、いたってまじめである。 茶道で使うお茶は、普通の煎茶などの茶葉とは違い、碾(ひ)き臼で細かい粉に挽(ひ)いてある。 そのため湿気を吸いやすく、保管したままの状態でお茶をたてると、きれいに溶けないでダマが…
40代の頃からだから、もう半世紀近くになるだろう。母は毎朝、お薄(おまっちゃ)を自分のために二服(二杯)たてる。 来年90歳になろうとしているが、いまだに元気なのは、ひとえにこの緑のお茶によるものだろう。 部屋の一角に小さなコーナーをしつらえ、…
蛍篭(ホタルカゴ)という意匠の中次(なかつぎ) 薄茶器、抹茶の入れ物の一種。 薄茶器全体が、蛍篭(ほたるかご)を表している。夏草に止まる蛍が、黒い漆の上に描かれ、明滅している。黒に黒なので、遠目には紅い点しか見えない。よく見れば闇の中にも翅…