パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

インタビュー「道(どう)」と香水② 華道 Flower arrangement_‘Kado‘

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「道(どう)」と香水② 華道 Flower arrangement_‘Kado‘


私は幼い頃から植物が好きで、学校から家までの帰り道、ポケット植物図鑑を片手に道草をするような子供でした。

母が自宅で華道教室をしていましたので、生徒さんに混ざって見よう見まねでお花を活け始め、庭には季節の草花が植えてありましたので園芸にも関心を持つようになりました。


このように植物に囲まれて育ったので、自分の中での花に対する志向は、他に対するものと比べて、とても強いと感じています。

特にその香りには早い段階から興味がありました。

 

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見た目が美しい花でさえも、香りがないとまるで紙でできた作り物のように思えてしまうことさえあります。

一方で、一見地味でさえない花の中に、驚くような魅惑的な香りを漂わせているものを見つけます。

 

私は特に花の中心の蕊(しべ)に惹かれます。近づいてじいっと見つめていると、甘い蜜を含んだ蕊には、花の思いや夢が詰まっていて、まだ聞いたことのない調べを奏でているように思えます。

 

たくさんの金色の雄蕊がかしずく真ん中にはお姫様がいて...まあそんなふうに、いつも詩と空想の世界に遊びました。

 

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茶道や華道を学ぶにつれ、花の美しさを真に活かすためには、もっと視点を引いて全体の中の調和を見ることが必要だということを知りました。

 

例えば床の間に活けられる花は、枝ぶりを考え、葉を添えて自然にあるような風情で活けられます。

母だけでなく、私の祖母もまた華道教授でした。庭からただ一枝を切って、無造作に活けただけのように見えるのに、それがいかにも部屋に釣り合って

「それは素晴らしかった」と母は言います。

 

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香りも同様に、花をメインテーマとしても、それを引き立てるトップノートや支えるラストノートたちが過不足なく組み合わされ、花と風景と情緒をそっくり表現します。

 

茶室の花のように、その場所に調和をもたらし、纏(まと)う人に溶け込み、人生の1シーンを彩るような香りであることが、重要だと私は考えています。

 

(この記事は過去のプレス・インタビューから、回答を編集して掲載しました。)

 

 

 

 

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