パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

母の茶道⑥織部  Oribe

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昨日の続きであるが、私が横入りして母のお手前のペースが狂ってしまったため、翌日は「続きお薄(うす)」とは別に、盆点(ぼんだ)てでお抹茶を点(た)ててくれた。
 
お茶の四方山話(よもやまばなし)は、その場面にならないと出てこないもので、本を読んだだけではわからないことがたくさんある、
 
この日も織部(おりべ)の話になり、
「11月には、茶碗だけでなく、香合でも、菓子器でも、何か織部のものを一ついれるといい」のだという。
 
お道具で重なるのは野暮だから、織部を複数使わないのは分かるけど、
「え、じゃあ、他の月は織部使わないの?」
と尋ねると、
 
「いやー、とにかく11月に使うといいということで、他の月に使ってはいけないかどうかはわからないし、今は年中、使うみたいだから。どうなんだろうねえ」
とはっきりしない。
 
はっきりしないが、どうも昔はそのように教わったらしい。
まさか私がここで発表するとは思っていないので、のびのびした発言である。
 
 
 
「11月は炉開き(ろびらき)があるけど、月の最初の亥(い)の日にするといいのよ、今はあんまりいわないけどね。猪は多産だから、縁起がよくて、それで、亥の子餅(いのこもち)を出すの」
 
亥の月(旧暦)の亥の日の亥の時間に、亥の子もちを食べる習慣は古く禁裏にもあって、源氏物語にも登場する。
 
今年も炉のお手前に変えたばかりのときも、半年振りになるので、「やっぱり手順を思いだすのに時間がかかったよ」とのこと。
 
というような話しを、断片的に聞くので、とにかく忘れないようにとここに書きとめておく。
 
 
 
 
 
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