パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

銀の桜のお香たてと香筒,携帯用 L'art "d'écouter l'encens

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携帯用の銀のお香立(こうたて)と香筒のセット。
 
1-2年前だったと思うが、某有名デパートの美術展を見た後、同じフロアに和小物を扱ったお店があり、立ち寄ったところ見つけた。
 
「おお、なんとシャレたものだろう」と早速購入。
 
それからずっとしまったままだったのだが、先日ふと思い出して写真をとってみた。
 
 
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小さな香立ては、可愛らしい桜の形。
銀製で、裏にちゃんと刻印もある。
 
しまっておいたので少し曇ってしまったが、ナニ、銀製なので磨けばきれいになる。
 
 
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お香は長いので、香筒の長さにあうよう、短く折って入れる。
香筒は銅製に鍍銀(めっき)したもの。
 
こういう筒の物って、蓋とのあわせがとても大切。
きつすぎても緩すぎてもいけないし、すうっと入って、最後にほんの少しの抵抗があり、一押しするとカチっという音と共にぴったり止まるのが素晴らしい。
 
一見まっすぐななのにどういう仕組みになっているのか何度もはめたりはずしたりして確かめる。
肉眼では見えないが、写真を拡大すると、ぐるり細い突起が盛り上がりがっているみたい。
でも、抵抗はその手前2ミリ位のところで始まっているから、微妙に太くなっているのかな。
 
いくらだったかは忘れたが、「えっ?こんな手のこんだ工芸品が、こんな(お安い)値段で買えてしまうの?」というくらいお値打ちに感じた。
 
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そして、
「こんな雅(みやび)で奥ゆかしい物を持つなら、中に入れるお香も上等な物でなければ」
と思い、銀座の香十にて伽羅(きゃら)のお線香を購入したものである。
 
煙となって消えてしまうものだけに、贅沢なものを一期一会(いちごいちえ)の気持ちで使いたいものだ。
 
ちょっとリラックスしたいときにさっとバッグから出して香を焚く。
そんなことを思い浮かべたのだった。

 
 
さて、ここまで揃えたというのに、なぜ使わずにしまっていたかというと、いざ出先で使うシチュエーションを想像すると、そこに火がないことに気がついたのである。
 
 
昨今、世の中に禁煙が進んだために周りの人がライターを持っておらず、火を借りることができない。
 
うーむ。もちろんどなたかのお家なら火はあるだろうが、、、
 
百円ライターと言うのも無粋なもの、さりとてこのためだけにいつも重たいライターを持つか。
それともマッチを持つ?
 
やはり良い物は、使う時の始まりから終わりまでエレガントでないといけないような気がする。
アンティークな小ぶりのライターを探して、と。
 
これは宿題にしておこう。
 
 
京都清課堂さんの銀桜香立 と銀銅香筒
 
 

 

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