国宝の志野(しの)茶碗「卯花墻(うのはながき)」の写し・・・のつもりだそうである。
「母の茶道⑦日本陶芸倶楽部」で、母の陶芸道楽について書いたが、これは母の焼いた志野茶碗。
下の赤い土がうっすらと透けて、灰色の模様もやわらかな味わいである。
下の赤い土がうっすらと透けて、灰色の模様もやわらかな味わいである。
サインは「くにこの九二」
手にすっぽり入るくらいの小ぶりの志野で、重さもちょうどよく、
今は、私が愛用している。
このところ「母ネタ」が多いのだが、毎日その動向をウォッチしているとまったく飽きない。
くどいようだが、母は本当の趣味人であって、ただ自分が面白いと思うことだけをやっている。
だから見ていても面白いのだが。
人に見せるつもりはないので、プロからみたら稚戯(ちぎ)にも等しいものだろうから、
私がこうしてこっそり発表していることを知ったら、えらく気分を損ねるだろう。
しかし今年90歳の母は、インターネットをやらないのである。
しめしめ。。
ある日の朝、いつでも私が自分で飲めるよう、ダイニングテーブルの上に茶碗と茶せんと棗(なつめ)など、お道具一式が用意してあった。
正式のお点前をするものではなくて、本当に抹茶を飲むためだけの道具。
というのも、母が毎朝「つづきお薄」のお点前をするのを、時々、横から私がさらっていたのだが、
「精神統一が乱れるから、もう自分で立てて」
と、いわれてしまったのである。
『人がいたら精神統一できないのは、修行が足りないのでは・・・?』
などとは口がさけても言えない。。。
朝、起きて、私は食事はとらない。
その代わりに、薬缶(やかん)にお湯を沸かし、
小さな干菓子をひとつつまみ、
小さな干菓子をひとつつまみ、
ひと椀の抹茶を自分で点(た)て出し(お点前なしでささっと立てること)して飲む。
さわやかな苦み。
寝ぼけた頭がすっきりするし、庭の雀を見るのもまた楽し。
しゃきしゃきと出勤するのであった。
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➤抹茶の香り Hyouge ひょうげほろ苦い抹茶のグリーンとふわっとした泡立ち。すっきりとした甘さが残ります。