木の名札を読んで「カジノキ」とあった時、ふとこの葉を使った手前(てまえ)を思いだした。
梶の木の葉は、切れこみが無く卵形のこともあるし、葉が裂けて3つになったり、かしわもちを包む葉の様に5つに分かれることもある。
このカジノキの大きな葉は、茶道の夏の薄茶席で、水指の蓋に使うことがある。
昔、娘時代に通っていた茶道の先生のお庭はちょっとした広さがあり、お茶で使う茶花などさまざまな植物が植えられていた。
七夕の時期、夏の暑い日に、「今日は葉蓋を使いましょう」といって、庭から切ったばかりの梶の葉を、お水屋の鉢の中に数葉つけてあって、涼しげだったのを覚えている。
水指の上に蓋の代わりに梶の葉を置いて、風炉のそばに運ぶ。
お手前の中で、葉蓋は開けたら折りたたんで建水に捨ててしまう。
葉蓋を右手で取り、縦二つに折り、茎が左に向くように横にむけて、三つか四つに小さく折りたたみ、折った葉にちょっと穴を開け茎の端を差しこんでとめ、建水の中に伏せて入れる。
この葉は、一回のお手前で一枚使ってしまうので、お稽古の人数分が必要である。
これは5月の梶の花と葉。
切れこみが無く素直な葉の形だ。
切れこみが無く素直な葉の形だ。
先生のところで使った梶の葉も、切れこみが無かったように思う。