パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

初天神(はつてんじん) 毎朝の一服③ Tenjin (Shinto)

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初天神とは、正月25日の、その年初めての天満宮の縁日。
落語の演目にもなっている。
 
母の部屋には、いつもは掛け軸の前に香合があるのだが、今朝は可愛い人形が置いてある。
 
 
 
 
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母は月に2~3回、歳時記にちなんだ飾りつけを変えて楽しんでいる。

「1月25日は初天神だから」
 
菅原道真公の人形と思ったのは、土鈴(どれい)だった。
お胸に梅の紋が、そしてユーモラスなお顔がほのぼのとしている。
 
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みればお抹茶茶碗も天神さま。
 
天神さまのなにか有名な図柄を、本家を真似して書いたとのこと。
それでも筆の運びで、母なりの味わいが表情にある。
 
『では今日はこれを借りて、私の朝の一服としよう。』
というわけで最初の一枚目の写真である。
 
今日は休みなので、自分の席でのんびりと庭をながめつつ、お菓子を食べお茶をいただく。
先日のお菓子の「月世界」、私がとても気に入ってたので、また用意してあった。
 
 
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お抹茶を飲み切って中を清める。
茶碗の「みこみ(内側)」には大きく「天神」と書かれている。
 
御本手かしら、淡いピンクの斑(ふ)が浮いて梅の花のよう。

25日を過ぎたらこれらのお道具はかたずけて、また別のお抹茶茶わんや香合、掛物などが飾られる。
 
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こんな風に、歳時記ごとに自分で色紙をしたためて、1年を順繰りに飾り付けているので、母のお部屋をのぞくのが楽しみである。
 
 
人を招くためのものではないから見栄もなく、ただ、自分の楽しみのために飾る日常。
 
 
名物道具ではなく、自分にとって意味のあるものを愛用する。
それが数寄者(すきしゃ)じゃないかと思う。
 
 
 
 
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