パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

インタビュー「道(どう)」と香水③ 香道 Japanese art of fragrance_'Kodo'

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「道(どう)」と香水③ 香道 Japanese art of fragrance_'Kodo'  

 

私の香りの特徴は、一言でいえば「乾いている」ということです。甘いグルマン系の香水ならば、米や小豆を原料とするあっさりとした和菓子。バターやクリームのようなコクとは異なります。

 

たとえオリエンタル・タイプであっても、乾いた木とスパイス、植物系のアニマルとでもいうのでしょうか。私の作る香りは、重厚で艶のあるアニマリックではありません。

 

お茶の香りの「ひょうげ(旧織部)」には、畳の上でゴロゴロした時に香る「イグサ」の香り、また「夜の梅」には水墨画の香りが隠されています。

 

おそらく日本で育った人なら懐かしく、海外から来た人にはいっぷう変わった香りに感じられるでしょう。

 

 

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沈香の香りも同様です。

 

今は海外の香水の世界では、OUD(ウード・香木)が流行っていますが、香道で焚く沈香の香りとOUDの香料の香りは全く異なります。

 

OUDは重くアニマリックでレザリー。心を掻き立てるようなセクシーな香りです。

 

一方沈香の香りは甘く暖かく乾いたスパイシーなウッディノートで、心を鎮める清浄な香りだと私は捉えています。

 

このお香を思わせる香りは、私のお気に入りのいくつかの香水の中に見られます。したがって、私の香りに大きな影響を与えているのはやはり沈香の香りです。

 

 

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香道では、火のついた小さな炭を香炉の灰に埋め、その上に雲母(MIKA)の板を置いて沈香の切片を乗せるので、燃えることはありません。

 

香木は間接的に温められることで、香気成分がマイルドに空中に放たれ、香炉の周りをふわふわと動き回るのです。

 

 

これはお線香やコーンのように、火をつけて煙が立つときのいがらっぽさを含む匂いとは違います。また、エタノールの力で拡散する香水とも全く異なる香りの立ち方です。

 

 

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まるで障子ごしの柔らかい光のように、間接的ともいえる匂い立ちを香水に表現してみたいと私は思いました。

それゆえ、私の香りには「乾いている」と同時に、「あからさまではない」という特徴があるように思います。

 

 

自分の個性や特徴は、意図して出来るものではなく、後ろを振り返ってみた時、その足跡に歩き方のクセが現れていた、と言うようなものかもしれません。

 
特徴を表面に出すというよりも、余白のある、つまり「香水をつける方の居場所にあう」ことが「さとりらしさ」であったらいいなと思っています。
 
 
 
(この記事は過去のプレス・インタビューから、回答を編集して掲載しました。)

 

 

 

 

 

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