
茶碗の縁(ふち)の口当たりが、お茶の味を左右する。
よく言われる事だけれども、年を取ってようやく実感するところである。
季節にふさわしい茶碗なら格別の味わい。
例えば、
志野(しの)のふっくらとした口当たりでいただく冬の抹茶。
青磁(せいじ)の夏茶碗では、
張りつめた薄い縁でいただく、ややぬる目の抹茶が爽やか。

この茶碗は、若い頃はあまり好きではなかったのだが、使っているうちに気に入ってきた。
薄い生地なのに少しつぼまった椀の形が、春から夏にふさわしい。
この深い青色と、白くぼんやりと光る内側の模様が蛍の様に浮き出る様子がステキな感じ。
じいっと眺めていると、お抹茶の海に引き込まれるような気がする。
じいっと眺めていると、お抹茶の海に引き込まれるような気がする。
茶碗:前田正博