パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

簡単!抹茶を濾す方法 tea ceremony 母の茶道③

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簡単レシピ!調のタイトルにしてみたが、いたってまじめである。
 
茶道で使うお茶は、普通の煎茶などの茶葉とは違い、碾(ひ)き臼で細かい粉に挽(ひ)いてある。
 
そのため湿気を吸いやすく、保管したままの状態でお茶をたてると、きれいに溶けないでダマができてしまう。
 
飲んだ後に舌につぶつぶと粉茶が残ったりすると美味しくないし、茶碗の底に残ったりするのも見苦しい。
 
 
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そこで、茶濾しとか茶ぶるいとか呼ばれる道具でお茶を濾してから使う。
今回のお抹茶は、一保堂の雲門の昔を使ってみた。
 
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濾すときは、網目の上の抹茶を刷毛などで掃(はら)うらしいのだが、うちでは昔からビー玉を使う。
本式なのかはしらないが、粉が飛び散らずにとてもいい。
 
 
母の家のは大きいサイズなのだが、アトリエでは邪魔にならない小さい缶を使っている。
 
2-3個のビー玉を抹茶と一緒に入れて缶の蓋をしめる。
 
 
 
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軽く振る。
中でビー玉が踊るのが手ごたえでわかる。
 
 
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ほんの十回ほど振った後、缶のふたをそっと開けると、すっかり抹茶の粉は下に落ちている。
 
 
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濾し器の部分を取り外し、底にたまった抹茶をへらですくい、なつめや中次などのお茶を入れる入れ物の中に移す。
 
残った分は翌日まで冷蔵庫に入れてしまっておくこともある。
 
これはもちろん、水屋(みずや・お茶室の横にある下ごしらえをする場所)でする、いってみれば楽屋裏の作業。
 
缶は錆びてしまうので洗ってはならない。
きれいな布などでぬぐうだけでよい。
 
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あとは、手前(てまえ)のとおりにお茶をたてれば、滑らかな味わいとなる。
 
家では昔から当たり前のように目にしていたので、気にも留めなかったのだが、調べてもこのことについてあまり書いていないので、はたして一般的なことなのかなあと疑問に思っている。
 
ひょっとしたら、「よそさまでそんな裏方の話をするもんじゃない」と母に叱られるかもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
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