パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

四季折々の香りある植物

どんぐりの背くらべ drab competition

ある朝、開園と同時に新宿御苑に行ったら、柵(さく)の上にどんぐりが並んでいた。 誰が並べたのだろう? たぶん、この道は私が朝いちばんに通ったのだと思うから、前の日からあったに違いない。 風に吹かれて、一晩中、立ち続けることなんかできるのだろう…

ホリホック?アブチロン?Malvaceae?

槿(ムクゲ)のことを書いていて、アオイ科の植物をいろいろと載せてみようかな。 そういえば・・・、昔グラースで撮った写真の中にもあったなあ。 たくさんの写真の中から見つけてみると、紫のこれである。 ウスベニアオイかゼニアオイか何かの変種かな、と思…

ヤツデ、八つ手、Fatsia japonica

ヤツデって、あの、葉っぱが、天狗のもっているようなやつ。 これ、ツボミなのだけど、まるでシャクヤク(芍薬)のツボミのようだ。 しかし、これが見事な変貌を遂げる。 いや、シャクヤクの様に派手な花にはならないので、みごとと言えるのかどうか分からな…

ムクゲ,槿花 Hibiscus syriacus

ハイビスカスの仲間というと、身も蓋もない気がする。「槿花一朝の夢(きんかいっちょうのゆめ)」というように、儚(はかなさ)が身上だもの。 「粋(いき)」とは、上品と下品の境界に淡く存在する。 その境界は、人の心と時代によって動き、狭まり、また…

巨大アスパラガス? ユッカ Yucca gloriosa

うわっ!超巨大アスパラガス! どのくらい大きいかというと、2メートルくらい? でもこれは、アスパラガスではなくて、ユッカという植物。 アメリカ南部の乾燥地が原産らしい。 しょっちゅう咲いているような記憶があると思ったが、やはりバラと一緒に春と秋…

サルオガセモドキ Tillandsia usneoides

これをサルオガセモドキという。 と言っても、初めて見つけた時は、香料を採るサルオガセ(猿麻薯)かと思って喜んだのだが。 これは、サルオガセに見た目は似ているが別種の植物で、だからモドキという。なんとパイナップルの仲間だそうだ。 温室には名札が…

カラスウリ,烏瓜,Trichosanthes cucumeroides

カラスウリの赤い実が冴えてくると、もう冬が近いのだと感じる。 この色を見つけると、ときめいて近寄ってみるものの、一瞬後には哀愁を帯びて見える。 玉章(たまずさ)という別名がいい。 気がつけば陽はすっかり柔らかくなり、夜が早くやってきた。 窓の…

ホトトギスとスズメガ  Macroglossum stellatarum

ホトトギスという花と、スズメガという虫。 どちらも鳥ではないけど、鳥の名前のついた植物と昆虫のとりあわせ。 虫が苦手のひとにはダメかもしれないけど、 よくみれば目が愛くるしくて可愛いし、働き者ぽい忙しさは、私としては好感度は大。 この蛾は、飛…

ターメリック,ウコン,鬱金,Curcuma longa,turmeric

サロンでは時々、クルクマというピンクの花を活けることがある。インド原産の花のせいか、夏の暑い時期に切花で長く持つ。 それを巨大にしたような感じのターメリックの花。 迫力がある。 包み布に使われる、ウコン(ターメリック)には、古来、防虫、防腐効…

秋のアオスジアゲハ Graphium sarpedon

私の覚えでは「アオスジタテハ」なのだけれど、「アオスジアゲハ」というのが正しい名前らしい。幼虫はクスノキの葉を食べるとか、この蝶はよく森の中で見る。 夏の間、敏捷に飛び回っていたアオスジアゲハ。 嵐の去った秋のある日、散歩をしていると、目の…

芳香バラ ローズ Rosaceae

今日はバラの咲き具合を確認しようと思って、バラ園に行った。 先日の嵐でツボミの時に傷ついてしまったのか、花びらの傷んだものが多い。 そこで特に、香りのあるバラを中心に嗅いでみようと思い立った。これは、シャリファ アズマという。 淡いピンクが中…

アカトンボ Sympetrum

アカトンボがたくさん飛んでいる。これは、枇杷(びわ)の木にとまって日向ぼっこをしているトンボ。 水辺にはやはりたくさんのトンボが飛んでいる。ロープの上で並んで休憩。 これじゃ、前のトンボのお尻しかみえないでしょう。 夏の終りには青い、シオカラ…

シリブカガシ、尻深樫、Lithocarpus glaber

シリブカガシなんて、名前がヘン! ドングリのへたの中がへこんでいるから、尻が深いんだって。 暖かいところが好きなので、京都が北限と言われているけど、新宿御苑にはあった。 ここ、日あたりがいいし。 となりにあるのはシリブカガシの花。一年かけてド…

森 FOREST

静かな夜の間にはった大きな蜘蛛の巣。 藪(やぶ)をかきわけて入れば、葉の裏に休んでいた小さな羽虫がいっせいに舞う。蜘蛛の巣が捕まえる。 朝の均衡を破った、私の足音。 この木は、私が生まれる前からここにあり、死んだ後もここに残る。 私たちが彼ら…

ニオイサンタンカ(匂山丹花)Ixora odorata

キンモクセイも終わってしまったし、何となく寂しい気分であったが、気持ちいい風の吹くなか、ぐるっと新宿御苑をまわってから温室へ行って見た。 温室には夏の間はあまり行くことがなかったので、久しぶりに少し変わったものがみれるだろうか。そんな風に思…

エフェメラルについて autumn ephemeral

春の妖精に対して秋の妖精、オータムエフェメラル(autumn ephemeral)。そんな言葉があるのかしら? 春夏秋冬、現れては消えていく花の妖精たち。 妖精を捕まえることはできない。 ただできるだけ長くそばにいてもらいたいと願うだけ。 美しい四季の移り変わ…

カジノキ② 梶の葉のお手前 Broussonetia papyrifera

木の名札を読んで「カジノキ」とあった時、ふとこの葉を使った手前(てまえ)を思いだした。 梶の木の葉は、切れこみが無く卵形のこともあるし、葉が裂けて3つになったり、かしわもちを包む葉の様に5つに分かれることもある。 このカジノキの大きな葉は、茶…

カジノキ 梶の木① Broussonetia papyrifera

カジノキ(梶の木)のオレンジ色の実がなっている。 はじめは花に見えたのだけれど、春先にもこの木には花が咲いていたはずなので、形の異なる花がまた咲くとは不思議なことだと思った。 調べて見るとこれは花ではなく果実で、このオレンジのつき出た柔らか…

咲いています!キンモクセイ、金木犀Osmanthus fragrans var. aurantiacus

キンモクセイの香り 新宿御苑の新宿門を入ったあたりからすでにキンモクセイの匂いが漂ってくる。 新宿御苑にはキンモクセイのある場所はいくつかあるが、これはきっと、母と子の森にいく途中にある大きな木に違いない。 そう思って、広場を横切る道を森へと…

どんぐり マテバシイ Lithocarpus edulis

晴れた秋の朝、ツクツクと遠く近く、蝉が鳴く。 耳をすませば、秋虫の音に重なって、たくさんのドングリが、コツンコツンとひっきりなしに落ちてくる。 人が人を取り戻す。 箱の中では、私は生きていない。息をして動いていても、それは生きているのとは違う…

ヒバンバナ,曼珠沙華,Lycoris radiata,

「ヒガンバナ(彼岸花)を庭に植えるものではない、あれはお墓の花だから。」 そういわれても、気にせずに庭に植えたことがある。 若い頃は、ときに自分の中の「善」に不満を持つ。または挑戦的な気持ちがあって? ただ綺麗だったからかもしれない。 ヒガン…

萩 Bush clover

ハギは、秋草だけれども、花の形をよく見ると、藤やエニシダ、ムレスズメなどによく似ている。 豆科特有の形だ。 萩の木は細い枝が地面からブッシュのように伸び、分枝した先に花が咲いている。 花に会う日がいつも風のある日なのか、枝がしなり易いせいなの…

ギンナン落ち始めました。銀杏,イチョウ,Ginkgo biloba

臭うな~と思ったら、9月だというのに、もうギンナンが落ちている。 それも、りっぱな大きさ。 結構、たくさん落ちているな~。 踏んだら靴の底が臭くなるので気をつけて歩く。 でもギンナンの落ちてくるのって、11月とかじゃなかったかな? 最近では植物の暦…

ツルボ,Barnardia japonica

ツルボに会いたい。 朝のうちにひと仕事を終えて、イソイソとアトリエを出る。新宿御苑の九時の開苑時間にちょうどついた。 もう、ここは自分の庭のごとく熟知しているつもりだが、「どういうルートで行こうかな?」と考えながら案内板を見る。 ツルボは一番…

今満開、ギンモクセイ 銀木犀 Osmanthus fragrans

ギンモクセイの花が満開 はじめに数輪が咲いているのを発見したのが9月3日だから、もう10日以上。 満開までいがいに長くかかったのは、お天気が悪かったからだろうか。 うっすらとしたクリーム色の花が、朝の日差しに爽やかに見える。花に近づき過ぎると、か…

ギンモクセイ 銀木犀 Osmanthus fragrans. var. fragrans

今年のギンモクセイ、銀木犀がもう咲いている。 この写真は9月3日のもの。 ここ、新宿御苑にはキンモクセイ(金木犀)とギンモクセイの群生している場所がある。 「まだ早すぎるなあ」と思ったが、一応そばを通ってみると、なにやらいい匂いがする。あれ?…

秋の赤い実 オオツリバナ Euonymusplanipes Koelhne

秋の赤い実、オオツリバナ。 多少暑くても、緑の中に赤い実が見つけられるようになると、もう秋が来たと思う。 遠目にはマユミかな?と思ったけれども、近づくと実が5つに裂けているし(マユミは4つ)、実のつき方も殻の外側にぶら下がっている様子が、マ…

センニンソウ 仙人草 Clematis terniflora

これはどうみてもセンニンソウ,仙人草。 白い小さなクレマチスだが、日本のものだと思っていた。 南仏の山で見るとは思わなかった。 白い、雪のようなブッシュ。 蘂が特別長い。 これは、新宿御苑のセンニンソウ。 ちょっと趣が違うかな。

うれしいとき。ジャスミン,jasmine

うれしいとき。 わたしのこころのなかの 白い小魚がピチピチと跳ねる。 だからくすぐったくて。 そうなの。くちびるがピヨピヨって、 囀りはじめることもあるよね。 だって嬉しいのに、照れくさいときは、ささやかによろこぶよりほかないもの。

ナンバンギセル 南蛮煙管 Aeginetia indica L

ナンバンギセル。 ススキの根に寄生して生えてくる小さな植物。 昨年は時期が外れたのか見ることができなかった。 やや萎(しな)びて見えるのは、今年は暑かったせいだろうか、それとも時期が遅かったせいか。 思いのほかわさわさと生えている。 そして、3…

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