春の妖精に対して秋の妖精、オータムエフェメラル(autumn ephemeral)。
そんな言葉があるのかしら?
春夏秋冬、現れては消えていく花の妖精たち。
妖精を捕まえることはできない。
ただできるだけ長くそばにいてもらいたいと願うだけ。

美しい四季の移り変わりを見ていると、私たちは何ひとつ所有することはできないんじゃないかなと思う。
たとえ、一輪の花をテーブルにおいて、あるいは庭に花を植えて愛でたとしても、永遠にとどめることはできず、その移ろいを記憶に残すのみ。
ただ繰り返す季節のために、彼女たちに再び会えるよう、邪魔しないという形で、ほんの少し自然に関与できるかもしれない。
感謝と謙虚さをもって。
秋晴れの、こんな素晴らしい日に、ひとりで広い公園でぼんやり風の音を聞いていると、いろんな音が聞こえてくるし、音(おと)は、たくさんあるけれど、聞こうとしなければ聞こえないものだって、あらためて思う。