パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

四季折々の香りある植物

シキミ 樒 Japanese star anise

お彼岸でお墓参りに行った。母の手を引いて歩くと、足元にコロコロと、ぷっくり膨らんだ変わった形の木の実が落ちている。 あ、シキミかな? と思って上を見上げると、樹にたくさんなってる。 わりに大きな実で、2.5センチはあろうか。 今回シキミと気が付い…

ツルボ,蔓穂,Barnardia japonica

ツルボ(蔓穂)が咲くのを待っていた。 夏は暑いうえに花が少ない時期で、新宿御苑から自然と足が遠のいてしまう。 夏休みの終わり、ようやく秋の気配が訪れたころ、その花が咲き始める。 妖精に会いにいく。 細い茎の上に花穂が立って、つぼみの頃はつくし…

センニンソウ、仙人草、Clematis terniflora

センニンソウ。 クレマチスの仲間で、つるでどんどん伸びていく。 センニンソウは、花びらは細いものの、クレマチス・モンタナスノーフレークにもちょっと似ている。私の好きな花。 これを夏の花に入れるか、秋の花に入れるかいつもちょっと迷う。 8月という…

ガラスの薔薇 blossoming rose swarovski

造花は、生きている花に似せるほどに、本質からむしろ遠ざかっていく。 似たものは、偽物だ。 その花を象徴にして、別のものとしてあらわした方が想像力をかき立てられる。実在しないガラスのバラ。 透明な、冷たいバラは「ベリンモン」のように歌うのだろう…

花とにおい 朝顔 ヒマワリ チューリップ Ipomoea nil

すっきりとして飾りがなく、冴えた藍色が大変美しい朝顔の花。 夏休みの宿題といえば「朝顔の栽培記録」、というほど小さいころからなじんだ花だ。 アサガオにしても、ひまわりにしろチューリップにしろ、シンプルな形と特徴が子供でも絵に書きやすい。 その…

ガガブタ Nymphoides indica

ガガブタという。 音だけ聞くと、身も蓋もない呼び方。 しかしその漢名はというと「鏡蓋」で、葉が鏡(かがみ)の蓋に形が似ているからだともいう。 ほんの小さな目立たない花なのだが、よくみると花びらの周辺が細かく裂けており、まるで木綿の布地のヘリを…

ホシオモト(星万年青)、ユーコミス、パイナップルリリー Eucomis

ホシオモト(星万年青)、ユーコミス、パイナップルリリーという。 確かに、星のようなつやっとした花。 オモト(万年青)のように、しっかりした葉が根元から伸びている。 淡い黄緑の中央にピンクがちょっぴりさして、おしべが冠のよう。 パイナップルリリー…

オニユリとクロアゲハ Lilium lancifolium

クロアゲハは前翅の褄(つま)から大きく羽ばたいて、後翅はその動きに従っている。アオスジタテハに比べてゆったりとした動きである。 蝶は気まぐれに飛んでいるようだけれども、蝶の道は決まっている。それゆえ花は待っている。 オニユリは下垂した花を反…

Seringat スランガ バイカウツギ Philadelphus

MOUAN SARTOUXの植物園「Les Jardins du MIP」でこの花を見たときに、とても知っている気がしたのだけど、あんまりにも強い匂いだったので、なんだか思いつかなかった。 フランス語の名はSeringat(スランガ)。 花の蕊はちょっと見るとバラ科のようにも見え…

南仏の花 ラベンダーフレンチ Lavender

フレンチラベンダー 咲いたばかりのハイビスカス、 花弁が厚く艶があり、まるでビニールでできているみたい。 夜につぼんで、朝開く、を繰り返している。 ランタナ? アガパンサスのつぼみ。 なんだろう。マメ科の花であることは間違いない。

チュベローズ Polianthes tuberosa

植物名 チュベローズ学 名 polianthes tuberosa L. 和 名 月下香(ゲッカコウ) 分 類 リュウゼツラン科 チューベローズ属 説 明 物物学的には全くローズとは無関係で、リュウゼツラン亜科の球根草花である。 香りについて 甘く濃厚な、肉厚の白い花の香り。…

テントウムシとスズラン lady beetle & Muguet

テントウムシは特徴的な柄で、愛嬌(あいきょう)がある。 小学生の頃のクラスメイトは、シールや、文房具のモチーフとしてひとつやふたつは持っていたような気がする。 テントウムシのサンバが流行ったのは中学生くらい? 「赤、青、黄色の衣装を着けた、テ…

朴(ホオ)の木の花 Magnolia obovata thunb

大きな朴の木(ホオノキ)の花。 花の王様である。 毎年ゴールデンウィークあたりに決まって満開になる。 1~2輪咲いているだけで、甘くフルーティな香りが漂ってくる。 満開の時期には、20センチもある巨大な花が、一つの樹に100輪は咲くのではないか。圧倒…

ブルーベル スパニッシュ Hyacinthoides hispanica

ブルーベル、これはイングリッシュ種ではなくスパニッシュ種だと思う。 イングリッシュブルーベルは、強いハニーグリーンノートだが、スパニッシュの方が弱い。 ブルーベルはヒヤシンスやツルボの仲間だから、同じような青臭いハニーグリーンなのは理解でき…

カラスノエンドウ ヤハズエンドウ Vicia sativa subsp. nigra

小さいのに思いのほか目を引くかわいいピンクの花。 よく見ればスイトピーに似て。 形は、紫の藤(ふじ)にも、ピンクの萩(はぎ)にも、黄色のエニシダにも似ている。 なんとなればみんな豆科(まめか)の植物だから。 「悲しいかな!翼があると唯一知られ…

ホシノヒトミ オオイヌノフグリ Veronica persica

この花の名前が「オオイヌノフグリ」というのは、結実した種子の形が犬のふぐりに似ているからだという。 しかし、その実を見たことがないのは不思議だ。 春になり、凍えた地面がやがて柔らかい緑でおおわれるころ、青い可憐な花がぱっちりと咲く。 花はごく…

さくら 駿河台匂い SAKURA Prunus lannesiana 'Surugadai- odora

新宿御苑には、いい香りの桜が何本かある。 スルガダイニオイ(駿河台匂い)はその中の一つ。 清楚な白の一重で、ハニーグリーンノート。 もともと終わりかけの桜だったから、昨日の嵐で散ってしまっただろう。 春が駆け足で去っていく。 βフェニルエチルアル…

ムラサキケマン紫華鬘 Corydalis incisa Spring ephemeral

この時期、森に可憐な花を咲かせる、ムラサキケマン(紫華鬘)は春の妖精、スプリングエフェメラル。 ここは新宿御苑、落羽松(らくうしょう)の森。 落葉樹林の下草(したくさ)として、スプリングエフェメラルは背の低い、しかし比較的華やかな花を咲かせ…

さくら、cherryblossom

ソメイヨシノを中心に、大島桜や山桜、駿河台においなど、たくさんの桜がつぎつぎと咲く。 人も集まる。 を見ているのか花を見ているのか、わからないくらいだけど、みんなの顔もほっこりほころんでいる。 私は山桜系が好き、 白い花に添えられた緑の葉が清…

匂へどもしる人もなき桜花 Cherry Blossoms

匂へどもしる人もなき桜花 ただひとり見て哀れとぞ思ふ 慶政上人 風雅和歌集 Cherry Blossoms Beautifully in full bloom Without being seen by anyone but me What a magnificent view It is expressing feelings of excitement and loneliness when enjoy…

ヒヨドリと桜 cherryblossom_&_Hypsipetes

修善寺寒桜(しゅぜんじかんざくら)は、ソメイヨシノよりもかなり早く咲く。 2週間ほど前のことだから、もう満開を過ぎ葉桜になりかけているだろう。 満開の修善寺寒桜には、たくさんのヒヨドリが忙しく飛び回っている。 ヒヨドリがいるときは、メジロはや…

ヒヨドリ,鵯、Hypsipetes amaurotis

我が家のヒヨドリちゃん 朝、私が一番にカーテンを開けると、ちゃんとベランダの手すりにつかまって待っている。 朝茶の支度をして、部屋の中をうろうろすると、彼(彼女?)も、手すりの上を行ったり来たり。 林檎の切ったのを投げてやると、すぐには食べな…

白いヒヤシンス hyacinth

うわー、白いヒヤシンスいっぱいの、花束をいただいた! 花束が届いて白い包みをほどくと、なかにはヒヤシンスのつぼみがぎっしり。 なんて素敵なのでしょう! 私は白い花が大好き。 そして、ヒヤシンスもとても好きな花。 こんなに贅沢な花束ってあるかしら…

金柑(きんかん)Fortunella Kumquat

まるまると太って、立派な金柑(キンカン)。 昔から、庭木としてよく見ることはあった。 それに、もいで皮ごと(または皮のみ)食べられることも知っていた。 知っていたが、なんとなく敬遠して、今まで生で食べたことがなかったのだが。 小さいころから生…

もみじ山 Momiji-yama

12月も後半に入って、1ヶ月ぶりの新宿御苑。 もみじ山は最後の紅葉(こうよう)が青空にひときわ映えている。 今年は暖かかったから、色づかないうちに葉が落ちてしまうのではと思ったけれど、この強い冷え込みで鮮やかな紅色に。 こちらは、黄金色。 なにも…

スカビオサ(西洋松虫草)Scabiosa japonica

青い青い海の底に、潮流が襞(ひだ)となって、たゆとう中心に沈んだ古い神殿の、丸い翡翠色(ひすいいろ)のドームがいくつも固まり、その周りにはカリアティード(女像柱)が並んで天を支えている、頭上にピンクの飾り支柱が伸びをして。 スカビオサ、セイ…

仏手柑 ブッシュカン Citrus medica var. sarcodactylus

これは、仏手柑(ブッシュカン、ブシュカン)という。蜜柑の仲間。 実の先が分かれ、細長い指のようだ。 仏さまが手を合わせたような形から名前がついたとされる。 実の食用になる部分はほとんどないので、果皮を利用して砂糖漬けのお菓子にしたり、観賞用と…

インドボダイジュ 印度菩提樹 Ficus religiosa

これが本当のボダイジュ(菩提樹)。 お釈迦さまが悟りを得たのは、仏教三大聖樹のひとつ、このインドボダイジュの樹の下である。 葉の先端が細く伸びている。 クワ科、イチジク属で、無花果(いちじく)のように花が外に咲かずに、果実の内側で咲いて実がな…

ゆる散歩 菊と秋バラを見に行く会 Shinjuku-Gyoen

新宿御苑の菊の展示が始まりました。 今まで年に2回ほど、数人で新宿御苑に季節の花を見に行く「ゆる散歩」をしてきましたが、この秋も11月7日に「菊花展」と「バラ園」を見に行く会を行ないました。 スクールの公式イベントではありませんが、この日来れる…

Record of floral fragrance  花の香りの記録について

Every flower has a charm, I believe. Common flowers could possess wonderful scents. However, there are only few books on these kinds of flowers. I suppose that people didn't bother to smell non-fragrant flowers or even to make a record of …

Copyright © PARFUM SATORI All Rights Reserved.