パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

シキミ 樒 Japanese star anise

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お彼岸でお墓参りに行った。
母の手を引いて歩くと、足元にコロコロと、ぷっくり膨らんだ変わった形の木の実が落ちている。
 
あ、シキミかな?
と思って上を見上げると、樹にたくさんなってる。
わりに大きな実で、2.5センチはあろうか。
 
今回シキミと気が付いたのは、冬に同じ場所に花が落ちているのを見つけていたからである。
 
2月の父の命日、春のお彼岸、お盆と、秋の彼岸。
年に4回は墓参にくるのだが、たまたまちょうど実の時期があったものだろう。
 
 
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このお寺にはいたるところにシキミの木がある。
常緑樹にありがちな、地味で目立たない木だ。
 
おおむね神社では榊(さかき)が供えられるが、仏事では樒(シキミ)を用いるそうだから、お寺にはよく植えられるに違いない。
 
 
シキミの別名はジャパニーズ・スターアニス
しかしこのシキミの実は、中華でみられるスターアニス八角)に似ているが、毒性があり食用にならない。
 
 
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2月の終わりには花が咲く。
3センチくらいである。

2月、父の命日で墓参に来たおり、やはり足元を見ながら歩いているときに、ポツポツと淡黄色の花が落ちているのを見つけた。
 
花弁がちょっとよじれて咲く形が、なんとなく仏手柑(ぶっしゅかん)を思い起こさせる。
 
いつも来ているのに気が付かなかった、初めて見る花だった。
拾い上げるといい香りがする。
 
鼻に近づけて香気を吸う。
甘い、クリーミージャスミンのようである。
 
例えば柊ナンテンとか、モッコクとか、地味ーな花が意外なほど濃厚な香りを持っていることに驚かされる。
 
花は見た目じゃないのだ、香りが大事。
 
 
 
 
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このシキミの実は、8本の角(つの)のうち、2本がうまく出てこなかったようだ。
ふふ、なんだか鬼の子がくしゃみしたみたい。
 
 
 
 
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