四季折々の香りある植物
モッコウバラは優しい花。やわらかい色合い、可愛い花、ふんわりした木の姿、そして棘(とげ)のないバラ。桜の興奮が終わって、さわやかな季節に移る頃に、目を楽しませる。 惜しむらくは芳香があまりないこと。白いモッコウバラの方が香りがある。でもそれ…
羽をもたぬ蝶、アヤメ 「かの歌女もし我心に協《かな》はば、我はこれを贄《にへ》にせんといふ。(アンデルセン_即興詩人/鴎外訳)」 森は神域 木は神殿 鳥の声は神楽 梢に渡る風よ さやけし音は祝詞(のりと) 私は巫女
「なのはな」はとても親しまれている春の花だ。 葉の若い頃はお浸しにして食べたり、花を鑑賞したり、種を搾ってナタネ油とする。 食用にする頃は「アオナ」といわれ、花が咲くころは「菜の花」と、そして種子ができれば「ナタネ」と名が変わる、まるで出世…
今日はどこもかしこも桜が満開。 雨の後の、しっとりとしたぬるい空気に、はや花びらのちらほらと散る夜。 市兵衛町の方から六本木一丁目駅の横を通り、スペイン坂、桜坂へと、アークヒルズを囲むように続く桜並木をぶらぶらと歩く。 あんまりきれいすぎて哀…
フェンネルはウイキョウ(茴香)、フヌイユ (fenouil)ともいう。1~2メートルほどになるセリ科の一年草。羽毛のように広がる細かい葉をもち、黄緑色の細かい花が咲いた後、種子をつける。 消化促進、消臭などに効果があり、香辛料・食用の他、薬用、化粧品…
フリージア(freesia)は昔からある、お馴染みの春の花だ。 黄色いフリージアが居間に飾ってあると、「春が来たな~」と子供心に嬉しかった。また香りがとてもいいのでとても印象深い花である。 最近では品種改良がすすんだのか、花色も増えたし大きくなった…
新宿御苑の大きなシダレザクラは、ソメイヨシノに先駆けて春の庭を飾る。 今日はまだ咲き始めたばかりなので、カメラを持った人たちもまばらである。 春の嵐にはまだ早すぎるのに。 花は乱れ髪のように揺れ、根元に群れ咲く白い水仙も身を伏せている。 その…
これは、1月20日のヨモギ(蓬)。 ちょうど、福寿草が咲き始めるころ、地面にぴったりと這うように生えていた。 で、3月15日に同じ場所に成長度合いを見に行ったら、たいして大きくなっていない。 生えるたび採られて、草餅にでもされちゃったのかな? 草餅…
新宿御苑には桜の木が約65種1100本あるそうだ。 多いのはやっぱりソメイヨシノ。広い芝生の庭をソメイヨシノが取り囲んでいる。 春はむしろ曇りの日の方が暖かい。しっとりと水気を含んだ大気の向こうに、つい先ごろまで細い枝先を黒々と震わせていた桜の木…
クロモジ、黒文字の花。 毎年この時期になると、散歩の途中には必ず見に行って、蕾が咲くのはいまかいまかと心待ちにしている。 直径1センチに満たない小さな花の集まりだけれども、白いうぶげの生えた葉の若い緑が映えて、遠目でもよく目立つ。 過去のブロ…
今日は冷たい雨が降っている。 「三寒四温」の三寒の方、こんな日の新宿御苑は人がすくない。 池のほとりにはだれもおらず、次々とちいさな輪が広がっては消える様子を、ひとり飽かず眺めている。 「するべき」「せねばならない」「やめるべき」「してはなら…
高校生の頃からこの花が好き。毎年春になると、母は白と紺の染付の小ぶりな壺に、たくさんのアネモネを活けていた。 桃、さくら、たんぽぽ。どちらかといえば春はふんわりした黄色やピンクの花が多いようだが、そんな中でアネモネのはっきりとした色合いは新…
アスファルトの道路の脇にも、菜の花が咲いている。 もこもこと鮮やかな緑と黄色のコントラスト。 3月12日は、伊藤静雄の命日「菜の花忌」。 伊藤静雄は中原中也らとともに同人誌で活動した詩人で、三島由紀夫にも影響を与えたという。 正直この人の名はあま…
ハチジョウキブシ。 毎年この時期に新宿御苑に行くと、広がる芝生の向こうに、薄緑色の鎖のようなものがシャラシャラと揺れているのが、まだ花の少ない景色によく目立つ。 もう少しすると、樹の下はレンギョウの黄色と、雪柳の白で覆われ、この地味な花は目…
ミモザの咲く日 3月8日は、世界女性の日、FESTA DELLA DONNA(フェスタ・デラ・ドンナ)ミモザの日だそう。 今日、新宿高島屋の前を通ったら、ミモザ(銀葉アカシア)が咲いていた。 ミモザと桜は一緒に咲くような気がしていて、いつも予想外の早さにびっく…
大寒桜、オオカンザクラ。 3月半ばころに咲く、中型のさくら。 花びらの切れ込みが深く、フリフリしたところがロマンティック。 毎年毎年、飽きもせず似たような写真...と思ったりするのだが、やっぱり花を見れば嬉しくて、嬉しければ写真を撮りたくなり、撮…
石(いわ)ばしる、垂水(たるみ)の上の、さ蕨(わらび)の、萌え出づる春になりにけるかも 志貴皇子(しきのみこ) 春の喜びを詠う歌、蕨(わらび)の歌は万葉集からただ一首。 ちいさな拳骨(げんこつ)を握ったような形は赤ちゃんの手にも似て、なんだか夢をいっ…
枯れ葉の中にある、緑のギザギザした丸い葉っぱは、ふき(蕗)の葉。さて、どこに「ふきのとう(蕗の薹)」があるのでしょう? ふきのとう(蕗の薹)の天ぷらは大好きなんだけど、地面から芽をだしてるのをみたのは初めて。 すでに大きく育って董(とう)の…
スイセンの学名、ナルシス。 自己愛の強い人をナルシストと言い、その言葉のもとが、ギリシャ神話のナルシスとエコーの物語から来ているということは、よく知られた話である。 ほら、自分の姿に見惚れて動けなくなる美少年である。 子供の頃に読んだギリシャ…
カワセミ(翡翠)を初撮影! 先週、アトリエまでの通勤を、新宿御苑を通るコースを選んでみた。 寒いせいか、ほとんど人に会わない。 「今日は日本庭園を通って、母と子の森を抜け、もし時間があったら温室もまわってみようかな...。」 そう思って日本庭園の…
冬の朝に新宿御苑を歩いていると、寒さに自然と足早になる。 それでも視界の隅に、ちらと異な物を感じることがある。 雑木林で立ち止まって見つけたもの。 池の対岸の木の上に、小さなサギ、コサギが蹲(うずくま)っていた。 コサギといってもそれなりに大…
こんなに綺麗な紅葉を見ていると、着物の柄にしたいと言う気持ちがよくわかる。 凍える季節を前にして、一瞬燃え上がる樹木たち。 大正から平成にかけて活躍した作家の宇野千代さんは、着物のデザイナーでもあった。 生涯に11件の家を建てる。 ある庭には紅…
アメジストセージ、メキシカンブッシュセージとも言う。 紫のガクはビロードのような和毛(にこげ)で覆われて暖かそう。 この間のビワの花といい、秋冬もののセーターを着ているようである。 この姿を見るといつもなんとなく、 紫のセーターを着たイモ虫を…
皇帝ダリア。背がとっても高い。 いつもこの花を目にするのは、よく晴れた風の冷たい朝なので、晩秋というよりも冬の初めの花のイメージがある。 堂々とした姿のわりに、花は可愛らしいピンク色。 「ダリア」といえば、小学校の実習だ。 理科室の裏の畑にイ…
紅葉するためには、冷たさに触れなければならない。 葉の生命の終わりは、試練によって彩られる。 水に映る影の方がより鮮やかで、 真実は光の中で色褪せる。 赤と緑、補色がさえざえと見えるのは、芯となる黒い幹があるから。 色に匂いがあるのだろうか? …
枇杷の花の香り 新宿御苑の温室近く、芝生の中に一本のビワの木がある。 きまぐれに道を外れて歩きながら、そのビワの木に向かっていくと、ふんわりと甘い香りが漂ってくる。 そうか、もう花が咲いているのだな。 冬に咲く花 ビワの花は毛布にくるまれて、寒…
帰り道の改札を出たホールで、期間限定の有機野菜の出店があった。 横目で通り過ぎようとして、小さなカボスのようなものが山積みになっており、シークワーサーという名札が目に入った。 3週間ほど前、同じ場所で青い有機レモンと水晶文旦を買ったのだが、同…
朴(ほお)の木の学名はMagnolia obovata、(マグノリアオボヴァタ) オボヴァタというのは、ラテン語の「倒卵形」という意味である。 卵を逆さにしたようなこの大きな葉の形から学名は由来している。 この楕円の葉は30~40センチあり、比較すればこの木の雄…
ハナヒラク、Hana Hiraku ,朴(ほお)の木の花② 初夏に咲く朴(ほお)の木の花。 子供の頭くらいはあるこの巨大な花は、 崇高(すうこう)と言ってもいい。 遠くに木の姿が見えるころから、香りはすでに届いている。 あたり一帯に拡散しているのだ。 しかし…
キンモクセイとギンモクセイ キンモクセイの香り 金と銀、一緒に見れるなんておめでたいね。 「暦の上では秋」と言われても、暑い毎日が続いていると、秋がいつ来たのか忘れているもの。 毎年この時期になると、通学、通勤途中にかすかに匂ってくる金木犀の…