パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

ブルーベル スパニッシュ Hyacinthoides hispanica

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ブルーベル、これはイングリッシュ種ではなくスパニッシュ種だと思う。
イングリッシュブルーベルは、強いハニーグリーンノートだが、スパニッシュの方が弱い。
 
ブルーベルはヒヤシンスやツルボの仲間だから、同じような青臭いハニーグリーンなのは理解できる。
 
 
図鑑などを見ると、ブルーベルの香りについてはひとこと「いい香りがする」としか書いてないけど、フローラルな良い匂いとは言いがたい。
 
ブルーベルが群生しているイギリスの森の中はくらくらするような香りだろうと思う。
あの、デュ・モーリアの「レベッカ」の中で、広大な地所を持つ主人公マキシム・デ・ウィンターが、ブルーベルの群れ咲く森を表現する。
 
まるで刺激性の野生の活液が茎の中をたっぷりと流れてでもいるような、いささかくせのある苦味のきいた匂いがたちこめている。」
 
 
たった一株のヒヤシンスが庭にあるだけでもかなり青臭い。
「良いにおい」と言えないけど、好きな匂いだ。
それは、「レベッカ」という小説のこのシーンが好きだったからかもしれない。
 
 
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ここ新宿御苑で毎年ブルーベルを見ると、その姿から、神楽鈴を思い出す。
巫女さんがシャランシャランと鳴らす、あの鈴である。
 
もともとブルーベルという名も、風に揺れて香りが漂うさまから、ベルが鳴って軽やかな音をたてるのを連想するからだろう。
 
言葉や文化が違っても、連想の骨格部分は似ていたりすることがある。
 
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奥はブルーベルのピンク。
ピンクなのにブルーベルっておかしい。
 
白もある。
 
白やピンクは香りが弱いか、ほとんどない感じ。
 
 
 

 
 

 

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