パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

花とにおい 朝顔 ヒマワリ チューリップ Ipomoea nil

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すっきりとして飾りがなく、冴えた藍色が大変美しい朝顔の花。
 
 
夏休みの宿題といえば「朝顔の栽培記録」、というほど小さいころからなじんだ花だ。

アサガオにしても、ひまわりにしろチューリップにしろ、シンプルな形と特徴が子供でも絵に書きやすい。
 
そのため、なんだか幼すぎる気がして、いっときは魅力を感じなくなった時もあったが、今ではそのわかりやすさが、明るさをもって胸に響いてくる。
 
朝顔には匂いがない。
匂いがない花は多い。
 
しかし、それは人間にとって感じないということで、植物が交配のために出す香りは、ターゲットとする昆虫や他の生き物には感じられるというらしい。
 
本来、花が咲いていることも、花の香りも、人の為にあるわけではない。
 
 
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このひまわりは、茎のみずみずしさが滴(したた)るようなグリーンの、菊に似た匂いがする。
ヒマワリはキク科なので当たり前か。。。
菊は昔から祭壇に飾られ、お浸しにして食べたりもしていたので、日本人にはなじみのある匂いではないかと思う。
 
 
 
植物の容姿を様々に変える工夫はあれど、香りを良くするための交配というのは、それに比べてあまり盛んではない。
 
多くの人は目に見えるものへの評価は熱心であるが、風韻というものを理解する人が少ないように、香りにはあまり注意を払わなかったのだろう。
 
 
 
 
 
チューリップもないと思っていたが、ごくわずかではあるが、最近では香りに注目した品種もあるという。
バラ園に行った時も、名札の下に「芳香性」と但し書きが書き加えられたりしているのを見た。
ようやく花も香りで評価される時代になったのだろうか。
 
香りの文化も、このように身近なところから充実していくのがいいと思う。
 
 

 

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