パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

ハナヒラク、Hana Hiraku⑥ ,処方と香料absolute&essその2

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ハナヒラクのドライ感を出しているのはカモミールブルー。
 
とても個性的な香りのこの香料を、常識外れと言われるような量を入れた。
多量のカモミールに多量のジャスミンをぶつけることで「力(ちから)」のバランスを取っている。
 
 
カモミールは小さなキク科の植物で、香料にはジャーマン種とローマン種があり、花はどちらも白い。
 
カモミールブルーと呼ばれるのは、ジャーマンカモミール種から採取された香料のことである。
なぜ白い花なのに「ブルー」と呼ぶか、というと、これは成分のアズレンのせいで香料が青いため。
 
 
 
ちなみに、コートダジュール(Cote d'azur)のアズール(azur)は明るい青を意味する。
アズレンazulene)の名前も青に由来する。
 
 
 
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「ハナヒラク」の香水が、淡い翡翠色なのは、黄色の香料に青いカモミールの香料が入っているから。
 
右隣にある香水と比較すると碧色がはっきりわかる。
右が無色に見えるのは、イリスなど白い色の天然香料が多いためである。
 
 
 
 
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カモミールブルーは花の香りというより、塩辛さと植物性のアンバーノートを持つ。
 
 
まだ香料の勉強を始めたころ、この香料には手焼きせんべいの要素・・・乾いた醤油の香りがする。。と思ったものである。
 
味噌や醤油から直接香料を取るわけではないので、組み合わせで作ってみたいと何回も処方を書いた。
カモミールブルーを中心にしたベース、それは私の処方の引き出しに、何年もしまってあったものだ。
 
 
 
味噌、醤油、日本酒、麹、
世界の香料業界で、日本の発酵食品の匂いが注目され始めて久しい。
 
子供のころから親しんできたそれらの香りは、日本で生まれ育ったからこそ作れるのだと思いたい。
 
この不思議な香りをファインフレグランスにほんの少し潜ませる、それは日本人には懐かしく、海外の人には新鮮な驚きを与えるに違いない。
 
 
どこにでもある香りではなく、しかし奇をてらったものではなく、香水として完成されたもの。
私が自分でつけたい香り、つけていて心地よい香り。
 
少しずつ進化する、それがパルファンサトリのコレクション。
 
 
 

 

 
 
 
 

朴(ホオ)の木: 学名:Magnolia obovate 日本特産種

大木になると幹が直径1メートル、高さが30メートルにもなる落葉高木。朴(ホオ)の木の大きな葉に、味噌や餅を包んで焼いた朴葉みそ、朴葉餅や、皿として使うなど、日本では昔から生活に根ざした歴史があります。5月頃にクリームホワイトの20センチにもなる大きな花を枝先に咲かせ、その香りは風に乗って遠くまで届きます。

 

 

 

ハナヒラク メイキングストーリー①

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