朴(ほお)の木の学名はMagnolia obovata、(マグノリアオボヴァタ)
オボヴァタというのは、ラテン語の「倒卵形」という意味である。
卵を逆さにしたようなこの大きな葉の形から学名は由来している。
この楕円の葉は30~40センチあり、比較すればこの木の雄大さがわかるだろう。
花も葉も、日本最大級の「日本特産種」である。
まだ春の葉は柔らかく、すべすべとシルクの手触りがする。
ここの朴の木はかなりの老木である。
幹は満身創痍だ。
それでも、いっぱいに広げた枝先には、毎年5月、雄大な花を怒涛(どとう)の如く咲かせる。
ひとつずつの花の命はそれほど長くない。
しかし次々と咲き続け、100か200か、、、もっとかもしれないが、3週間ほどは花に会いに行ける。
そして咲き初めの花のフルーティな香り、咲き終わりのラクトニックな香りが混ざり合って、樹を中心とした香りのドームが出来上がる。
時折、初夏の風がひと群れの香りをさらって、遠くの人々へ運ぶのだ。
花が終わった梅雨の時期は人がいない。
雨の中、傘をさしてこの樹の下で立ちつくしたこともある。
大人が泣ける場所って、そうそう見つからないものだから。
私はこの樹がとても好き。
花の時期はもちろん、夏の日差しを遮る大きな木陰や、グレイに乾いた巨大な葉が落葉し、地面を覆いつくすころも。
花の時期はもちろん、夏の日差しを遮る大きな木陰や、グレイに乾いた巨大な葉が落葉し、地面を覆いつくすころも。
ほらね、桜の落ち葉に比べて、朴の木の葉はこんなに大きい。
これが全部木の下に落ちて、多くはここで朽ちて土になり、
あるものは風で運ばれてほかの木の栄養になっていく。
100年、200年、1000年を経た巨樹は、私たちの人生よりずっと長い。
そして毎年、芽吹き、咲いて、咲かせて、散って、、、そして循環の中で土になる。
生まれ、育ち、死んでいく、いわば1年という短いサイクルで、生涯を繰り返すのだ。
春夏秋冬、植物の輪廻(りんね)には、いつも生き方の中心軸がある。
四季のある朴の木を見ていると、
そう、そう思うのである。
朴(ホオ)の木: 学名:Magnolia obovate 日本特産種
大木になると幹が直径1メートル、高さが30メートルにもなる落葉高木。朴(ホオ)の木の大きな葉に、味噌や餅を包んで焼いた朴葉みそ、朴葉餅や、皿として使うなど、日本では昔から生活に根ざした歴史があります。5月頃にクリームホワイトの20センチにもなる大きな花を枝先に咲かせ、その香りは風に乗って遠くまで届きます。
朴(ホオ)の木: 学名:Magnolia obovate 日本特産種
大木になると幹が直径1メートル、高さが30メートルにもなる落葉高木。朴(ホオ)の木の大きな葉に、味噌や餅を包んで焼いた朴葉みそ、朴葉餅や、皿として使うなど、日本では昔から生活に根ざした歴史があります。5月頃にクリームホワイトの20センチにもなる大きな花を枝先に咲かせ、その香りは風に乗って遠くまで届きます。