パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

ミズナラ -Mizunara- ⑥ 香料素材 モルト・コアベース

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ミズナラ -Mizunara- ⑥ 香料素材 モルト・コアベース

 
2015年秋、「水楢佳寿久/MIZUNARA CASK」というオーセンティックなバーに入った瞬間に、お店を満たすウッディな香りと、樹齢500年の水楢材のカウンターに魅了され、そしてさまざまなウイスキーの香りの違いを体験し、とても心を動かされました。
 
ウイスキーについて興味をもち調べるうちに、ミズナラ樽で熟成されたウイスキーが「伽羅」と「白檀(サンダルウッド)」の香りがあるということを知り、メイドインジャパンにこだわったパルファン サトリの香水のテーマにふさわしいと直感。
 
 いろいろと試飲しながら、バルサム(Balsam)やカストリウムCastreum)、アンバー(Amber)といった香料が次々と思い浮かびました。
 
 
 
 
そして、アトリエに戻りオルガン台を前にアコードをとり、試行錯誤を繰り返しながら、モルトコアベースにたどり着いたのです。
 
 
 
モルトコアベースは、焦げた香ばしさ、スモーキーなドライな香りや、奥にある樹脂の甘さ、アニマリックなレザー感を組み合わせました。伽羅と白檀(サンダルウッド)の香調も加え、ミズナラ樽の中の熟成を表現したものです。
 
 
 
 
スモーキータバックなイソブチルキノリン(iso buthyl quinoline)、トルーバルサム(Tolu balsam)やラブダナム(Lubdanum)、固くメタリックなアンバー、チンベロール(Tinberol)やウッディ系の複数のアンバーケミカルを使った、質量の高いパワフルなベースとなりました。
 
 
 
また、ウィスキーを口に含んだ瞬間に感じる、のどが焼けるような灼熱感は、トロピカルフルーツにもあるオキサン(OXIAN)の揮発臭、そしてコニャックオイル(cognac oil)などを使いました。
 
 
 
これはミズナラの核になるベースです。
 
このように部分を作りながら壊し、他のベースと組みなおしてはやりなおす。また積み上げて一つの香水に育てていくのです。
 
 
 
 
ミズナラ -Mizunara-の香調 

モルトを口に含んだ瞬間の、のどを焼くトップノート。

すぐにガルバナムグリーンの風が鼻腔に抜け、続くハーバルのアコードに、
シャープなウッディのミドルノートが徐々に重なっていきます。

ラストはモルト・コアベース。
伽羅(きゃら)と白檀(びゃくだん)のウッディ、ラブダナムの焦げた甘さと、
奥からのぞくドライスモーキーな香りで芳醇な樽香(たるこう)を表現。
メタリックで硬いアンバーをプラスした複雑な香調となっています。


 

 

 

ミズナラとは

水楢ミズナラ)の木: 英:Japanese oak 学名:Quercus crispula Blume

水楢は、ブナとともに日本のブナ帯森林を形成する落葉樹。モンゴルから来たモンゴリナラの変異したものと考えられ、ジャパニーズオークの別称もあり、樹齢1000年を超えることもあるという寿命の長い樹です。倒れても萌芽再生力があり、樹齢にくらべてあまり大きくならないのは、枝葉より根に栄養を回していることも理由のひとつ。
材の目が詰まって重く堅いため、建築材、家具として使われ、森ではマイタケを初め、多くのキノコを育てる恵み豊かな樹木です。 

 

Mizunara-ミズナラ- ①香水の構想

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Mizunara-ミズナラ- ② ミズナラの樹を探して-1

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Mizunara-ミズナラ- ③ 水楢の樹を探して-2

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Mizunara-ミズナラ- ④ 水楢の木を探して-3

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Mizunara-ミズナラ- ⑤  Misunara Cask -ミズナラカスク-

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Mizunara-ミズナラ- ⑥  香料素材 モルト・コアベース

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 香水の詳しい説明

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