パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

Mizunara-ミズナラ- ② 水楢の木を探して

20180510青葉2.jpgMizunara-ミズナラ- ② 水楢の木を探して

 

5月に入り、アトリエで仕事をしているとすでに汗ばむような夏日が続いていた。窓の外を眺めながら遠い水楢ミズナラ)の林を想う。ずっと焦がれたその場所に行く日が近づいていた。
 
 
 
今年の4月の平均気温は21度と、例年に比べ5度~6度高いと聞いていたので、5月中旬にはおそらく山の上も、芽吹きのときを迎えているだろう・・・。
 
そんな風に楽観していたが、標高の高い場所の季節の訪れは遅いのでは!と気が付いたのは出発1週間前。
 
赤城山(あかぎやま)は標高1500メートルであるから、東京に比べ10度は低い。ゴールデンウィーク前に下見に行ったI(アイ)さんの写真ではまだ冬枯れのままである。はたして、新作発表会の前に新緑の水楢林を見ることができるだろうか?

 

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この香水のスタートは2015年の秋。
 
「Mizunara‐ミズナラ‐」の香水は、「芳醇なモルトの樽香(たるこう)」のベースに「高原の湖畔に広がる水楢林の新緑の風」を合わせたものである。
 
それはモルトに始まり、水楢の材、水楢の樹、その新緑の林へと繋がっていった私の旅。頭に描いた想像の光景を見たいと強く思っていた。
 
 
材木屋さんから端材を取り寄せたり、近場に植わっているミズナラの樹を探したり。あいかわらずスローな私が紆余曲折(うよきょくせつ)しながら、このイメージの地が現実に群馬県赤城山カルデラ、大沼(おぬま)周辺にあると知ったのは昨年の秋になってのことである。
 
すでに落葉が始まり、新緑の林を見るためには次の初夏を待たねばならない。
 
処方の最終調整をしながら、製造の段取りと5月の発売の準備をあれこれとしているうちに、あっという間に年が明け春が来た。
 
 
こうしてようやく、5月中旬にその地へ行くことに決まったのである。

 

20180513赤城山ミズナラ11.jpg

 
この日の朝、赤城山に山荘を持つIさんの車で、スタッフのK君を伴いつつ関越道を北へと向かう。予報は午後から雨。前日までの快晴が恨めしいような曇天で、赤城山に近づくにつれてポツポツと雨が落ちてきた。
 
 
「みんなで水楢を見にピクニックに行こう!」と呼びかけたもののみな都合がつかず、K君だけが逃げ遅れたのである。
 
前日、「先生、雨だったら中止ですよね?」と不安そうな彼を見ながら、「少しくらいなら雨天決行!」と宣言したので、豪雨にならないことをちょっぴり祈りながら九十九折(つづらおり)の山道を車で登る。
  
 
標識は1番から始まり、ターンするたびに数が増えていく。樹木の種類が少しずつ変わっていき、ピンクの樹皮のダケカンバから白樺のほうが多くなってくるころ、水楢らしい樹が散見されるようになる。

 

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「ああ、少し葉が開いていますね」とIさん。
「じゃあ、雨が本格的降る前に、早めにこの辺で葉っぱだけでも先に撮っておいては。」
とがっつく私。
「まあでも、とにかく大沼のほうまで行ってみましょう」
 
とかなんとか話し合っているうちに曲道は91を数え99にいたった。
 
 
つづく
 
 
 

 

ミズナラとは

水楢ミズナラ)の木: 英:Japanese oak 学名:Quercus crispula Blume

水楢は、ブナとともに日本のブナ帯森林を形成する落葉樹。モンゴルから来たモンゴリナラの変異したものと考えられ、ジャパニーズオークの別称もあり、樹齢1000年を超えることもあるという寿命の長い樹です。倒れても萌芽再生力があり、樹齢にくらべてあまり大きくならないのは、枝葉より根に栄養を回していることも理由のひとつ。
材の目が詰まって重く堅いため、建築材、家具として使われ、森ではマイタケを初め、多くのキノコを育てる恵み豊かな樹木です。 

 

 

全6話

 

 

つぎの記事↓  

 

Mizunara-ミズナラ- ③ 水楢の樹を探して-2

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Mizunara-ミズナラ- ④ 水楢の木を探して-3

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Mizunara-ミズナラ- ⑤  Misunara Cask -ミズナラカスク-

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Mizunara-ミズナラ- ⑥  香料素材 モルト・コアベース

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 香水の詳しい説明

parfum-satori.com

 

 

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Mizunara-ミズナラ- ①香水の構想

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