パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

Mizunara-ミズナラ- ③ 水楢の木を探して-2

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Mizunara-ミズナラ- ③ 水楢の木を探して-2

 
赤城山の観光シーズンはどこもとても混んでいるらしいが、ゴールデンウィークが終わった雨の日曜日のためか、ほとんど人がいない。
 
道々、引率の I さんが、縦に裂けた樹皮を指し示し「これが水楢ミズナラ)ですよ」と教えてくださる。我々も次第に木立の中の水楢の見分けがつくようになってきた。
 
山頂付近には大沼(おの・おぬま)、小沼(この・こぬま)、覚満淵(かくまんぶち)がある。初めに覚満淵へ、そこからさらに標高の高い小沼(1470m)に行く。だんだんと裸の林が広がっているのが見えてきた。間違いなく葉が開いておらず絶望的な気分だ。
 
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遠くから見て枝先が赤っぽい茶色になっているのは、木の芽が膨らんでいる証拠。明日から天気がよくなるそうだから、きっと次の週末には若い緑に覆われるだろう。
 
山の上だからか雲はより厚く垂れこめて、ポツポツしていた雨がパラパラになってきた。
 
まずい、、、。
リュックをしょわされたK君の後ろ姿も、心なしか肩を落としているように見えるではないか。
Iさんは雨でも慣れた道でスイスイである。
 
 
遊歩道を小沼にむかって歩いていくと、木の間から湖面が見えてきた。やや緑がかった鈍色(にびいろ)の、メタリックな光が照り返している。
 
まさにこの色は、香水「Mizunara-ミズナラー」の商品画像の背景の色。葉こそないものの、想像上の景色が、眼前に広がるのが感動的だ。
 
 
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赤城山は溶岩が冷えて陥没した穴にできた「カルデラ湖」だと思っていたが、大沼、小沼は噴火口がそのまま水溜りになった「火口湖」と呼ばれるもので、その成立が違う。
 
噴出するガスや温泉の成分の関係で、湖面は深い青緑の神秘的な色になっていることが多いそうである。
 
濡れないように、K君にカメラに傘をさしかけてもらいながら何枚か写真を撮り、また車で大沼のほうへと移動する。
 
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大沼(おの)は標高1,310メートルで、150メートル下がる。湖の周辺を車で移動中、葉が芽吹いている水楢を発見。急いで降りて写真を撮る。
 
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冬芽の赤い芽鱗(がりん)を割って、緑の葉がまるで花のように開いて綺麗である。捜し求めていたものに出会えて、ここでもまた感激する。
 
命の生まれる喜び。
 
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また、車で移動。
しかしその後、ふわーっと山から霧が降りてきて、景色はガスに包まれていく。神秘的な世界が見れたのも素敵。
 
『雨の日の赤城山もいいかも・・・。』だんだん嬉しくなってくる。
 
 
でもここでは写真にならないので、
「標高がまた低くなればミズナラの葉ももっと開いているでしょう。」と朝きた道を下に戻ることにした。
 
 
 
 
 
つづく
 
 

 

 

ミズナラとは

水楢ミズナラ)の木: 英:Japanese oak 学名:Quercus crispula Blume

水楢は、ブナとともに日本のブナ帯森林を形成する落葉樹。モンゴルから来たモンゴリナラの変異したものと考えられ、ジャパニーズオークの別称もあり、樹齢1000年を超えることもあるという寿命の長い樹です。倒れても萌芽再生力があり、樹齢にくらべてあまり大きくならないのは、枝葉より根に栄養を回していることも理由のひとつ。
材の目が詰まって重く堅いため、建築材、家具として使われ、森ではマイタケを初め、多くのキノコを育てる恵み豊かな樹木です。 

 

Mizunara-ミズナラ- ①香水の構想

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