パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

2016-01-01から1年間の記事一覧

重陽(ちょうよう)の節句 Double Ninth Festival

今日は重陽(ちょうよう)の節句。 3月3日が桃の節句なら、5月5日は菖蒲の節句、7月7日は笹の節句であり、 9月9日は菊の節句である。 1月7日は月日が重ならないが、七草の節句で、合わせて五節句となる。 今日は「菊尽くし」で、菊の物を重ねてもいいので、…

栃の実 Aesculus turbinata

栃の花は春に咲く。 そして実は秋に。 地面に落ちていると、大きいのでとても目立つ。 中には殻が割れて、つやつやした実がのぞいているものもある。 心楽しく、思わず拾ってしまうが、これはトチノミの魔力?魅力だそうである。 栃の実を見ると、拾いたくな…

ツルボ,蔓穂,Barnardia japonica

ツルボ(蔓穂)が咲くのを待っていた。 夏は暑いうえに花が少ない時期で、新宿御苑から自然と足が遠のいてしまう。 夏休みの終わり、ようやく秋の気配が訪れたころ、その花が咲き始める。 妖精に会いにいく。 細い茎の上に花穂が立って、つぼみの頃はつくし…

センニンソウ、仙人草、Clematis terniflora

センニンソウ。 クレマチスの仲間で、つるでどんどん伸びていく。 センニンソウは、花びらは細いものの、クレマチス・モンタナスノーフレークにもちょっと似ている。私の好きな花。 これを夏の花に入れるか、秋の花に入れるかいつもちょっと迷う。 8月という…

キンモクセイの香水 ソネット Sonnet / osmanthus

キンモクセイの香水 ソネット Sonnet / osmanthus キンモクセイの季節にはまだ少し早いのですが、今日は金木犀の花を思わせる熟れた黄金桃と一緒に、「ソネット」の写真を撮ってみました。 パルファンサトリのキンモクセイの香り「SONNET (ソネット=…

ガラスの薔薇 blossoming rose swarovski

造花は、生きている花に似せるほどに、本質からむしろ遠ざかっていく。 似たものは、偽物だ。 その花を象徴にして、別のものとしてあらわした方が想像力をかき立てられる。実在しないガラスのバラ。 透明な、冷たいバラは「ベリンモン」のように歌うのだろう…

花とにおい 朝顔 ヒマワリ チューリップ Ipomoea nil

すっきりとして飾りがなく、冴えた藍色が大変美しい朝顔の花。 夏休みの宿題といえば「朝顔の栽培記録」、というほど小さいころからなじんだ花だ。 アサガオにしても、ひまわりにしろチューリップにしろ、シンプルな形と特徴が子供でも絵に書きやすい。 その…

ナンバンギセル(南蛮煙管)Aeginetia indica

「野辺見れば尾花がもとの思ひ草かれゆく程になりぞしにける 和泉式部」 尾花はススキ、思ひ草とは「ナンバンギセル」のことで、秋の歌である。 南蛮煙管(ナンバンギセル)はススキの根に寄生する植物で、うつむき加減に咲く姿が、物思うさまに例えられ、古…

インタビュー:香りのテーマについて subject and fragrance name

インタビュー:香りのテーマについて Interview:subject and fragrance name Q:日本の自然、文化、フランスの歴史、アメリカのものなど、香りのテーマや名前について調香師のあなたを導いているのは何ですか? A: 本は私の親友で、花は私の伴侶です。私は空…

Fragrant rose- Blue Moon ブルームーン

Blue moon rose was created in 1964. The color slightly changes in spring and in autumn. Depending on the seasons, they become greyish purple. They are large and very fragrant. Decades ago, a nice rose shop was opened on the same side of th…

ガガブタ Nymphoides indica

ガガブタという。 音だけ聞くと、身も蓋もない呼び方。 しかしその漢名はというと「鏡蓋」で、葉が鏡(かがみ)の蓋に形が似ているからだともいう。 ほんの小さな目立たない花なのだが、よくみると花びらの周辺が細かく裂けており、まるで木綿の布地のヘリを…

インタビュー 日本的な香水とは?  Japanese style of perfumery

インタビュー 日本的な香水とは? Japanese style of perfumery Q:前の質問にもつながりますが、それでは西洋から見たオリエンタルではなく、日本的な香りとはどんなものですか? A:日本的な香りと言うと、匂い袋や線香のような香調だけを思い浮かべがちです…

インタビュー 極東から見たオリエンタル・タイプとは Orientaltype

インタビュー 極東から見たオリエンタル・タイプとは Orientaltype Q:あなたの感じる東洋の世界と、西洋で考えるオリエンタルの違い、そしてその香調の受け止め方はどのようなものですか? A: その視点は西洋の国で捉えられているオリエンタル・東洋の世界と…

インタビュー ジェンダーと香水 gender and perfumery

インタビュー ジェンダーと香水 gender and perfumery Q:香水に性別はあるのでしょうか? A:私は特に男性用、女性用と分ける必要はないと考えています。 例えば私のコレクションの中で、「苔清水(こけしみず)」や「ひょうげ(旧織部)」などは情景を表した…

ホシオモト(星万年青)、ユーコミス、パイナップルリリー Eucomis

ホシオモト(星万年青)、ユーコミス、パイナップルリリーという。 確かに、星のようなつやっとした花。 オモト(万年青)のように、しっかりした葉が根元から伸びている。 淡い黄緑の中央にピンクがちょっぴりさして、おしべが冠のよう。 パイナップルリリー…

お取扱店舗のご案内 2016年7月 グランドハイアット東京

お取扱店舗のご案内 2016年7月 グランドハイアット東京 六本木、グランドハイアット東京の1階シガークラブ及びアナ インターコンチネンタルホテル東京の2階、レゾンデートルシガークラブで、パルファンサトリの「茶壷香水」のお取り扱いが始まりました。

オニユリとクロアゲハ Lilium lancifolium

クロアゲハは前翅の褄(つま)から大きく羽ばたいて、後翅はその動きに従っている。アオスジタテハに比べてゆったりとした動きである。 蝶は気まぐれに飛んでいるようだけれども、蝶の道は決まっている。それゆえ花は待っている。 オニユリは下垂した花を反…

4種類のリミテッドエディション(限定ボトル)今日から販売開始!

パルファンサトリから リミテッドエディション(限定ボトル) プレミアムコレクションから、4種類の"リミテッドエディション"15ml が本日より発売! パルファンサトリの香りを美しい限定ボトルでお楽しみ下さい。 香り種類:さとり種類:オードパルファン容量…

FRAGRANTICA「イリスオム」フォーカス記事_日本語

パルファンサトリの「イリスオム」が「FRAGRANTICA(フレグランチカ)」に掲載! Gender Bender: The World of a Japanese Perfumer Part 2, Satori Osawa's Iris Homme ~ Fragrance Reviews (FRAGRANTICA本文へジャンプ) FRAGRANTICA (記事を抜粋し邦訳)…

七夕の朝の一服 Tanabata'Star Festival'

今朝、この茶碗を手に母がそばにやってきて言う。 「お茶を飲み干して、この茶碗の中をじっと見ていると、なんだか宇宙に吸い込まれていくような気がするんだよ」 この茶碗の銘は「天の川(あまのがわ)」。 その名のとおり、瑠璃(るり)色の夜空に、天の川…

インタビュー「道(どう)」と香水③ 香道 Japanese art of fragrance_'Kodo'

「道(どう)」と香水③ 香道 Japanese art of fragrance_'Kodo' 私の香りの特徴は、一言でいえば「乾いている」ということです。甘いグルマン系の香水ならば、米や小豆を原料とするあっさりとした和菓子。バターやクリームのようなコクとは異なります。 たと…

インタビュー「道(どう)」と香水② 華道 Flower arrangement_‘Kado‘

「道(どう)」と香水② 華道 Flower arrangement_‘Kado‘ 私は幼い頃から植物が好きで、学校から家までの帰り道、ポケット植物図鑑を片手に道草をするような子供でした。 母が自宅で華道教室をしていましたので、生徒さんに混ざって見よう見まねでお花を活け…

インタビュー「道(どう)」と香水① Tao & my aesthetics of perfumery

「道(どう)」と香水① Tao & my aesthetics of perfumery 私は幼い頃から茶道、華道を学び、香道にも親しみました。また、日本の伝統文化にも触れて育ちました。 これらの経験が、私のクリエーションにどのように影響してきたか、「道(どう)」についてち…

Seringat スランガ バイカウツギ Philadelphus

MOUAN SARTOUXの植物園「Les Jardins du MIP」でこの花を見たときに、とても知っている気がしたのだけど、あんまりにも強い匂いだったので、なんだか思いつかなかった。 フランス語の名はSeringat(スランガ)。 花の蕊はちょっと見るとバラ科のようにも見え…

グラース国際香りの博物館の植物園① Les Jardins du MIP

MOUAN SARTOUXの植物園「Les Jardins du MIP」 香料植物を集めた植物園だ。 ああー私もこんなお庭が欲しいなあ。。 東京で新宿御苑に行く代わりに、南仏に来たときは必ずここへ来なければ寂しくてしかたがない。 1時間かからずに歩けてしまう小さなお庭だけ…

カンヌの夜明け Cannes

私のアパルトマンの部屋は、カンヌの港に面したQuai 17番地。 ベランダは東向きで、波止場を隔てて反対から朝陽が昇る。 ベッドルームはリビングの反対側、西の広場に面しているので、朝、明るくなるのが遅い。 そのため、いつも朝陽を見逃してしまうのだ…

FRAGRANTICAでIris Homme が取り上げられました!

FRAGRANTICA(フレグランチカ)で「イリスオム」掲載 www.fragrantica.com パルファンサトリのイリスオムがFRAGRANTICAに取り上げられされました! 日本のみならず、フランス、シンガポール、オランダ、そしてUSでも人気急上昇です! FRAGRANTICA 本文より H…

FRAGRANTICA ロングインタビュー(日本語)

FRAGRANTICA(フレグランチカ) - Parfum Satori - ロングインタビュー(日本語) 香水専門データーベースサイト「フレグランチカ」にロングインタビューが掲載されましたので、一部を日本語バージョンにてご紹介致します。(こちらは英文の対訳ではありませ…

サントノラ島へ一人で渡ってみる③ Cannes Saint Honorat

サントノラ島、海岸沿いの道を歩く。 あっちこっち、一人気ままに歩いているので、森に行ったり海に行ったり、引き返したり。 奇岩の並ぶこの海岸は海藻がたくさん。 まあ、興味のない人にはつまらないかもしれないが、とにかく海藻がたっぷり。 なのに、こ…

サントノラ島へ!一人で渡ってみる② Cannes Saint Honorat

南仏カンヌ、レランス諸島のサントノラ。 小さい島だけど、やっぱり内陸はこんな感じ。 島を横断する土の道がまっすぐに続く。 地図をチラッと見ただけで、ガイドブックとかの予習をしてこなかったので、目的もなく適当に歩く。 風はさわやかだけど日差しは…

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