インタビュー:香りのテーマについて Interview:subject and fragrance name
Q:日本の自然、文化、フランスの歴史、アメリカのものなど、香りのテーマや名前について調香師のあなたを導いているのは何ですか?
A: 本は私の親友で、花は私の伴侶です。私は空想が好きです。
そこに生い立ちの環境があいまって、香りのテーマに導かれたと感じています。
小さい頃、よく親に連れられて海外を旅しました。
まだ柔らかい心に異国の情緒が刻まれ、大人になって香りを作るようになるまで、その記憶は長く熟成されてきました。
また、本を読むのもとても好きだったので、自分の中にたくさんの空想の世界を作り、それは旅の記憶と重なって絵物語となりました。
大人になり再びその地との出会いがあった時、時を経たその思いがすらすらと言葉になっていったのです。
またアトリエの近くには、新宿御苑ナショナルガーデンがあります。
日本庭園、イギリス風、フランス風といった計画的な庭から、里山風の落葉樹の森など、東京の都心でありながら広大な自然に触れることができます。
私は四季の花を見るためにひんぱんにそこを訪れ、香りを堪能しています。
春はいたるところで次々と花が咲くのでパトロールをするのに忙しいくらいです。
私たちは花を愛でています。
それは、花の美しさだけに魅力があるのではなく、季節の巡り合いを愛しているのです。
冬を耐える梅の香りに希望を見るから、春の訪れに心が華やぐ桜だからこそ、感動するのだと思います。
テーマはこうした喜びにも導かれて浮かんでくるように感じます。
感動のないところに創造はありません。
人の心を動かすのは、そうして作られたものなのではないでしょうか?