キンモクセイの香水 ソネット Sonnet / osmanthus
「ソネット」は、子供時代の幸せな思い出。
それはいつの世代にも繰り返し訪れる暖かい記憶を指しています。
この香りの中心にあるオスマンサス(きんもくせい)は、幼いころから私の大好きな花。
毎年、秋の透明な空気の中、このオレンジ色の花が咲くと「ああ、秋も深まってきた」と感じます。
でも、さみしい秋ではなく、実りの秋という充実感があり、それは子供時代の幸せな思い出とつながっています。
この香りに触れるとき、親や祖父母たちも、小さい頃にこの花の記憶があるのではないかしら、さらに次の世代まで、この花の香りを好きになってくれたらいいな、と願って「ソネット」を創りました。
「韻を踏む」が、何世代をも重ねて情景が想い出される。。。
そんなイメージで香水に名前をつけましたが、ここでは形式こだわらず、もう少し柔らかい形の「小さな詩」を書いてみました。
夕暮れ時の透明な日差しが
部屋の奥まで伸びて
花の香りが呼んだから
庭のテラスへおりてみた
橙色の星の花を
白いハンカチに包んで
私と似た面差しの
6つの少女が笑っている
花は時を告げるように
季節とともに巡ってくる
追憶のとき
少し褪せた家族の写真に
思い出が韻を踏んで
幾世代も訪れる
くり返し
ソネットのように
➤キンモクセイの香水