花の蕊(しべ)
なんでもかんでも、こんな風に寄ってみたら、花はみんな同じになってしまいそうだが。
蘂(しべ)が好き。
ひみつっぽくて。
そうとも限らないのだけれど、匂いは蕊にあるかのように想う。
だからつい、きれいな人のくちびるに惹かれるように顔を近づけてしまう。
枇杷の花のしべ
がくの中からつぼみがふくらみ、花びらが開き、蕊(しべ)がほぐれて、蕊の先の葯(やく)が割れる。
びわの花はけむくじゃら。
冬の寒さから花を守るコートだ。
花びらにまでうぶげが生えて、中まで暖かそう。
枇杷の香り
風のない日、満開の枇杷の木のそばは甘いバニラ様の香りでいっぱい。
花の香りはパウダリー、スイート。ヘリオトロピンのような収斂する香り。
一方、ビワの実の香りは、瑞々しい、アニスっぽいカントキサールの香気がする。