パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

桜 スルガダイニオイ Cerasus lannesiana 'Surugadai-odora' Miyoshi

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スルガダイニオイ(駿河台匂)はオオシマザクラの仲間で、特によい香りがする。

桜餅のような甘くパウダリーなクマリンの香りと、爽やかなローズの香り(βフェニルエチルアルコール)。淡いグリーン感や、ほんのりフルーティな要素もある。

 

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新宿御苑では今が満開。
すぐ間近まで花が降りてきているので、香りも能(よ)く観ることができる。

中央に小さな花弁がついている。これを旗弁(きべん)という。
本来は一重の5枚花弁なのだが、中央の雄蕊(おしべ)が花弁になりかけている。
(花が開く途中で蕊が花弁に成長するわけではない)

 

花びらの多い八重のバラも、雄蕊が花びらに変化したものだという。

 

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ソメイヨシノが終わったあと、このスルガダイニオイが咲く。

家康の旗本であった駿河衆が、多く住んだことから名づけられた江戸の駿河台。
その武家屋敷の中に、香りが良いヤマザクラがあり 、スルガダイニオイ(駿河台匂)と名付けられたそうである。

 

 

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神田駿河台にそのスルガダイニオイの並木があると、数年前に聞いた時からずっと観たいと思っていた。
神田の近くに用事のある時に通ってみたこともあるが、いつも早かったり遅かったり、タイミングが合わない。


今年になってようやく、その並木を訪れることができた。
先週の半ばである。
まだ花の付き方がちょっと寂しいかな。。。そんな咲き始めのころであった。

花は背の高い所にしか咲いていなかったので香りを観ることはできなかったが、清楚なたたずまいが好ましいと感じた。

ほんの1週間たらず。今日の新宿御苑では、すでに蕾はなく満開。 

 

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その道は、太田姫稲荷から始まる「駿河台道灌道(どうかんどう)」という。
通り抜ければあっという間の、短い並木道である。

 

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ちなみに太田姫稲荷(おおたひめいなり)は、太田道灌(おおたどうかん)ゆかりの神社である。

七重八重花は咲けども山吹の(実)みのひとつだになきぞかなしき

この山吹の歌は「実のない」山吹と、「蓑がない」をかけたもの。
国語の教科書にそのいきさつが載っていたのを思い出す。 

散策するといろいろ思い出したり、勉強になって面白いなあ。 

 

 

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