白い蠟のような花びらに守られ、たくさんの蕊(しべ)が傅(かしず)く真ん中には、いつもお姫様がいる。
ヘディオンのような透明なグリーン。
さわやかな甘いリナロール。
新茶のみずみずしい香り。
シスージャスモンの苦味のあるグリーン。
花は君臨せず、ひそやかにうつむいて咲く、冬に。
茶の道。
岡倉天心は「茶の本」の中でチャノキを「カメリアの女帝」と呼び茶道を語る。
「カメリアの女帝にぬかづき、その祭壇から流れ出る暖かい思いやりを、心行くまで楽しんでもいいのではありませんか?」(現代語で読む茶の本/翻訳:黛敏郎)
なんと美しい響きだろう!
茶の木はツバキ属、学名はカメリア。