心臓の薬ジギタリスは、その形から「フォックスブローブ(キツネノテブクロ)」と呼ばれる。
背丈は1mにもなり、ピンクの色、形ともはっきりとして、遠目でもそれとわかる。
白や黄色もあるらしい。
「フォックスグローブ」のほか、「魔女の指ぬき」などの名前があり、うら寂しい場所に咲くせいか、あまり縁起のよいイメージがないようだ。
同じく、秋に咲く真っ赤な彼岸花(ひがんばな)も忌み嫌われる。
どちらも毒のある美しさから来ているのかもしれない。
この花、何かに似ていると思ったら、「桐の花」だった。
背の高い木だから、桐の花はあまりよく知られていないけれど、
同じ、ゴマノハグサ科の植物だから、似ているのだろう。
量が適性ならば薬に、多すぎれば毒となる。
「毒にも薬にもならない」という言葉があるが、 薬草であることは危険もあり、表裏一体だ。
人も、用い方で害にもなるし益にもなる。
さじ加減はいつも難しい。
◇植物事典 ゴマノハグサ科ジギタリス属 学名 Digitalis L.