パルファン サトリの香り紀行

調香師大沢さとりが写真でつづる photo essay

桐の花,princess tree, Paulownia tomentosa,

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桐の花は、藤の終わりと重なる時期に咲く。
桐の花は高いところに咲くし、地味な色合いなので、あまり注目されない花ではないだろうか?
下を向いて歩いていると、落ちた花をみつけて、ようやく咲いているのに気がつく。
 
 
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桐は高貴な花で、五三の桐や五七の桐など、古くから有力者の家紋にもなっている。
日本政府の紋でもあり、パスポートの中にもある。

古来中国では、鳳凰(ほうおう)は桐の木にとまるとされたそうである。

そういえば?花札の20点札は鳳凰と桐の花の絵柄。
ただし、アオギリとこの白桐は別属であるので、どこかで取り違えられたものかもしれない。
 
 
 
 
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これらの絵は図案化しているので、本当の花の姿と結びつきにくいのだが、
このくらい近づいて花の姿を見ると、図案化されたものが連想できる。
 
上の写真はフランスの桐、ポローニャ。紫が濃い。
今はフランスの公園にも桐の木はたくさんあるけれど、もともとは中国から日本へ来た樹木で、かのシーボルトがヨーロッパに紹介したのだそうだ。
 
 
 
学名のPaulowniaは、ロシア皇女で後のオランダ王妃アンナ・ポローニャ(Anna Paulownia・パヴロニア )に献名したことからだという。
 
日本における桐の材木としての歴史は2000年もある。
桐が箱やタンスや琴になったりするとは、フランス人も知らなかった。
公園にはよく整枝された並木もあり、もっぱら鑑賞用のようである。
 
 
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花の匂いを知ったのは、大人になってからだ。
毎年、記憶を新しくしたいのだが花の時期が短く、うっかりしていると嗅ぎそびれてしまう。

このたびは落ちたばかりの花をいくつも拾ってきて、アトリエでゆっくりかいでみた。
ビニールの中に花を入れて、袋の口をすぼめ、香気を嗅いでみる。
 
もっそりとした甘さのあるウッディ・・・グアイアック・ウッドのような。
 
その中にスパイシー感もある。
それは、スチラクスやシナモンとホースラディッシュを混ぜたような辛さ。
 
 
 
 

 

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