パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

再び、さくら

090331半蔵門サクラ.jpg

をとめらのかざしのために、

 

遊士(みやび)をの蘰(かずら)のためと、
敷きませる、
国のはたてに咲きにける、
桜の花の、
にほひはもあなに  

若宮年魚麿(わかみやのあゆまろ) 万葉集


美しい日本語は本当に口ずさみたくなってしまう。ころがすように・・この歌を味わうと、明るい眩しさとともにその情景が浮かび上がってくる。私は、「ことば」をコレクションするのが楽しくて、万葉集はその宝庫である。

万葉集において桜を詠んだ歌は40首、梅は100首ある。奈良時代から平安にかけて、梅から桜へと花見の習慣が移っていったそうだ。そのため、後期になるほど桜の歌が多くなってきたらしい。

暖かい冬で、はやく桜に会えると思っていたがこの寒の戻り。未来への希望と開花を重ねて、本当に待ち遠しいことである。今、手首につけているのは私の「さくら」。

一足先には、ことさらにふさわしい香りに思える。


和歌の意味:
少女の髪かざりのためにと、風流な人の髪かざりためにと、天皇が治めていらっしゃる国のはてまでに咲いている桜の花のなんと美しいことでしょう。

原文:(女感)嬬等之 頭挿乃多米尓 遊士之 蘰之多米等 敷座流 國乃波多弖尓 開尓鶏類 櫻花能 丹穂日波母安奈尓  第八巻

写真:皇居のお堀と桜

 

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