パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

セントマルガリータ島②  Saint-marguerite island  Cannes

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セントマルガリータ(サンマルグリット)島は、カンヌの沖にあるレランス諸島の中で最も大きい島。
島なので当然、四方は海に囲まれている。

しかし坂を上り、島の中をめぐる道を歩くとそこは森の中。

歩いても歩いてもこのような景色が続き、また分かれ道があってそこを行くとまだ森の中。
二叉路、三叉路、辻、五叉路と現れる。

明るく、乾いた、静かな道で私はあえて迷子になる。

後ろも前も誰もいない、白日夢のような不思議な感覚。
鳥のさえずる声が、まるで天国にいるようである。


一枚目は私の、もっともお気に入りの写真。

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黄色い蝶が目の前を横切っていく。
この野辺の花はマツムシソウかな?




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森の中には、木の強い匂いが立ち込めている。
島全体に松が多い。


ブラックペッパーを思わせる、ややスパイシーで、スモーキータバック、バルサミックな甘さのある、乾いた香り。

新宿御苑でも歩いているとこれに近い香りをかぐことがあるけれど、ここは香りの帯の幅が広く、しかもとても濃密。





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やがて、また異なる香りが立ち込めていると思ったら、ユーカリの並木道に入った。

ユーカリ精油は、1.8シネオールが中心の、透明な、クリーンで冷たい香りだけど、花材でよく使うユーカリの枝は甘くバルサミックな香りが強い。

ここにあるのは、シャープな精油の香りではなく、花を活けるときに匂ってくる香り。
その何倍もの濃さの塊が、降りてくるようだ。


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突然爆音がしたと思ったら、編隊を組んで飛行機が飛んでくる。

火災予防訓練だそうだ。

これだけ乾燥して、しかも松やユーカリのオイルが揮発していたら、万一発火の場合それはよく燃えるだろう。
いたるところに禁煙のマークが書いてあったし。


延々と続く何十台もの飛行機の低空飛行。
と思ったら、上空を何度も旋回をしているようだ。

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しばらく歩くこと、やがて出会う強いグリーンはフィグ(イチヂク)の茎からにおってくる。
フレッシュで癖の強い、やや腋臭のような香り。


最近、フィグをテーマやキーノートにした香水があるのは、こんな風に身近に感じているからかも。


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サンマルグリット島の中には小さな湖があり、国立公園になっている。
中にははいれないが、ぐるっと囲む板塀の切れ目に物見櫓(やぐら)があって覗(のぞ)けるようになっている。

湖の中央の小島には、たくさんの鳥が羽を休めており、まさに鳥のサンクチュアリである。
こんなところで白鳥を見るとは思わなかった。

今回は重い荷物の中、望遠レンズを持ってきたかいがあったというもの。


そして、急に目の前に開ける広い海からは、潮騒の香りがいっぱい。

さまざまな海藻がたくさん生えていて、それが波に打ち寄せられ岩のようになっている。
きっと、その香りが混ざっている。

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松、磯の香り、紺碧の海。
マリンノートはきっと、こんな濃密な香りの環境で生まれたのだと思う。
それは明るくて、日本の海とは違う香り。


日本の海の香りはどんなだったかと思う。

きっと同じ松でも日本海の、そして海も荒れて波の花が浮かぶような、
厳しく固く冷たいマリンタイプになるのだろう。



生まれ育った環境が人を作るのだから。














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