パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

匂いのあるバラ① ブルームーン Rose [Blue Moon]

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ブルームーンは、1964年作出の割合に古いバラだ。
春と秋では花色が少し違う。

季節によって少しグレイがかった紫になる。
大きくてとてもいい匂いがする。

 

今から数十年前、広尾の明治屋の並びに素敵なバラの花専門店ができた。
学生にはちょっと敷居の高い雰囲気だったので、買い物のたびに前を通って眺めるだけだったが、ある日思い切って入ってみた。

いろんなバラの並ぶ中で迷っていると、「これはとてもいい香りがしますよ」とお店の人が見せてくれたのがブルームーンだった。名前もいい。すっかりとりこになった。

 

当時は高価だったブルームーンを1本だけ買い、義理の姉の誕生日のために、箱に入れてもらった。
バラを箱に入れるなんて、とっても素敵な感じがしたものだ。

その髪の長い義姉は、いつもサンローラン・リブゴーシュを着ていた。
このバラは自分のためには買えないけど、大人の女性のプレゼントにふさわしいような気がしたのだった。

 

 

大人になって庭でバラを育てはじめたとき、ブルームーンがとても欲しくなった。
縁がなく、ようやく買った時はいい場所を他のバラが占領していて、しかたなくやや日当たりの悪い場所に植えた。

一つの株で1シーズンにようやく大きな1輪がせいいっぱい。
病気も多く、気難しいバラのように記憶している。

 

新宿御苑ブルームーンに気がついたのは今年。
まだそんなに大きな苗ではない。
前からあったのかなあ。

今年は、小さな株がいくつかあったから、バラの苗も入れ替えているようだ。

 

十年前の誕生日に、ある方から箱に入った1本のブルームーンをもらった。
「私もこのバラにふさわしい女性になったのかしら」と嬉しかった。

 

 

 

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