パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

バラの庭

 

 

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バラのバトン。
記憶が蔓のように手繰られていく。

 

初めて育てた赤いバラ「タチアナ」。

それからつるバラや四季咲き、ミニチュアなど少しづつ増え、庭はバラでたくさんになった。

 

黄色のバラにはは匂いがなかった。香りのある黄色は少ないと思っていた。
淡いクリームにピンクの覆輪がほのかに入って、「ピース」は巨大な花が咲く。

「フラミンゴ」という淡いピンクのバラがあって、それは花つきはあまり多くなかったけれど、まっすぐに立ったステムと、開きかけの蕾の花姿が上品で気にいっていた。

  

強い香りを持つ「ブルームーン」は気難しくて、ようやくその年の一番花を、一輪だけ立派に咲かせるのがせいいっぱい。
淡い紫の花弁はすぐ茶色くなってしまい、お花屋さんにあるように、しみ一つなく咲かせるのは困難だった。

 

モダンローズから初めて、お決まりのコース、オールドローズへとはまっていく。

花弁がとがってステム(茎)の太い、パリっとしたモダンローズにはしだいに飽きて、
花の重みに耐えられないような、うつむき加減にゆるく咲く花が好きになっていった。

今でも、お庭から摘んできたばかりというような、
乱れた枝ぶりの野趣あふれる薔薇が好きだ。

 

一番好きだったのは名前も知らないつるバラで、5月に一度だけ、壁一面に淡いピンクの中輪の花を咲かせた。
フリルのように波打つ花弁の重ねは少なく、二重と八重の中間くらいか。
花の持ちはあまりよくなくて、開いたと思えば、はらはらとはなびらが散っていく。

まだ固いリンゴの様な匂い。。。。
バラは、匂いがあるほど、早く散ってしまうようだ。

でも次々と咲いて、2週間は満開が続く。
花の下は、散った花びらで薄桃色になる。
すぐに取り除かないと病気になると思いつつ、雨の日などしっとりと色が褪せて、
もう少し、眺めていたいと思うのだった。

ただ美しいという以外、役に立たないものほど愛すべきものはない。
バラの効能など語りたくない、そんな気分のときは・・・。

 

 

 

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写真はグラース・ボタニカルガーデンにて

 

 

 

 

 

 

 

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