パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

手活けのバラ A kept mistress

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手活けの花、それは遊女を身請けして囲うこと。

モダンローズは戸外にあっては充分に美しさが引き立たない。
窓辺越しのほの明るい部屋の中でこそ映える生き物だ。
世話をするほどに立派に咲く、お金のかかる女。

よく切れるハサミで、五枚葉のついた3分咲きの蕾を摘む。
太くまっすぐな茎を深いバケツに浸けると、たっぷりと水揚げをした葉はパリッとして、いよいよ存在感を増す。

人気のない広間のまん中でその花を開き、バラはゆったりと時間を支配する。

ブラック・ティー

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一方のオールド・ローズは、庭の明るい光の下が似合う。
例えばバフ・ビューティー

細いステムに重そうな頭を垂れて、乱れて咲くバラの庭。
もう、庭バラの時期は過ぎてしまったけど、目を閉じればよみがえるあの初夏の匂い。

一年を24時間に数えれば、5月は朝の10時。

人生が72歳のときは、朝の10時は30歳、一日が96歳なら、40歳である。
寿命が延びても1日が長くなるわけでなく、ただ一年が早くすすむだけだ。

 

 

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もっと素朴な一重のバラは野にふさわしく、たくましい幹と鋭いとげに可憐な花を咲かせる。


手をかけるほど輝く花、しかして荒れ野でも枯れない生命力のある花、それはローズ。
したたかであれ!女性はこうでなくては!!

 

 

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