モッコクは誠に地味な花を咲かせる。
しかしその香りは実に遠くまで届くのだ。
新宿御苑の園内を歩いていると、どこからか甘いクリーミーな花の香りが漂って来る。
一瞬、季節外れのハゴロモジャスミンが咲いている、と思ったりした。
それは5月の庭によく咲いている。
ようやく香りの主を探し当てると、その花の付きかたはギンモクセイのようだが、季節が違うし匂いも違う。
よく見ると小さな2センチくらいの淡黄色の花は「チャの木」の花にも似ている。
後で調べたらそれはモッコクという植物で、茶の木や、さざんかと同じカメリアの仲間、ツバキ科であるとわかった。
どうりで、いいにおいだ。
お茶の花もジャスミン調の匂いがする。
でも、モッコクはお茶の木よりも甘く濃い匂い。
モッコクは昔の家に植えていたので木の名前は知っていたが、花を見ることはなかった。
剪定をしてしまい、花芽を切ってしまったのかもしれない。
花の匂いを知ったのはほんの昨年のことである。
今年も楽しみにしていたが、いま新宿御苑では盛りを過ぎつつある。