パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

金木犀と銀木犀 キンギンモクセイ osmanthus sonnet

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キンモクセイとギンモクセイ

キンモクセイの香り

金と銀、一緒に見れるなんておめでたいね。
 
「暦の上では秋」と言われても、暑い毎日が続いていると、秋がいつ来たのか忘れているもの。

毎年この時期になると、通学、通勤途中にかすかに匂ってくる金木犀の香りに、はっとして木を探すと、視界のどこかにオレンジの花をつけたこの樹が見つかるものだ。
 
そうしてようやく、本格的な秋が来たのだと思う。
 
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ギンモクセイの香り

 
上の2枚は銀木犀の写真。
ごく淡い黄色で、香りはややさっぱりとしている。
 
少し前から日が短くなったのは感じていたけれど、金木犀の咲くころから、一気に日暮れが早くなる。
 
徐々に淡く暮れていくような夏の夕方とは違い、あっという間に暗くなるのはまさに「秋の日はつるべ落とし」
 
アトリエの窓から外を覗いて、思わず『早く家に帰りたいなあ・・・』と里心がつくのも、秋の興(おもしろ)みである。
 
 
 
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花の時期

金木犀キンモクセイ)は、銀木犀(ギンモクセイ)よりやや遅れて咲く。
銀木犀より、フルーティ感が強く、重く感じる。
 
家の近くの金木犀が咲いていたので、新宿御苑に行ってみたのは数日前の朝。

御苑では、銀木犀が満開、そして金木犀が咲き始めたところだったので、もう今日あたりは地面に花がたくさん落ちているだろう。
 
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季節が巡り、花に会うたびに、一年がたったことを思う。
 
学んでいる。
私は一年でたくさんを学んだ。
 
去年、一昨年の私が知らなかったことを、今は知っている。
 
きっと冬に水仙に会えば、その前の冬のことを、
春に朴(ほお)の花の香りに浸れば、その時期の過去の私を、
 
思い出して、一年に数ミリでも成長していることを知る。
 
 
毎年毎年、花は裏切らずに咲いている。
 
同じ木、同じ場所でなくても、その時期にはきっとどこかで花が開いている。
 
 
それが植物の素敵さだと思う。

 

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