マーガレットメリルはアイボリーホワイト。
とても品のいい容姿、バラらしいバラ。
強い香り。
バラ園ではまず、花の姿形を眺める。
好みの色、形であれば思わず顔を近づけてしまう。
柵越しに一番近い花をそっと引き寄せて香りを見る。
匂いがあるバラならば、もっとよく香りを吸って、「感覚」の部屋にいったんためる。
すると「思考」がやってきて、その香りをよく観察する。、
どこの棚に入れるのがよいか分類をした後、そっと引き出しにしまう。
匂いがないバラは、本当に無いのかどうか、もう一度よく香りをすう。
香りが全く無くて、造花のようなものもあれば、
生きている草のような、ほのかな匂いのするバラもある。
しかしそれはバラの匂いではない。
ピンクグローテンドルスト。
撫子(なでしこ)のように細かい切れ込みがある。
カーネーションのようでもある。
匂いはない。
まったく匂いがないか、ほんのり匂いがあるくらいのバラは
目を楽しませるが、官能を揺らさない。
シャリファアズマ
少女マンガの背景に出てくるよう。
薄いシルクでできた美しい造花のようなバラ。
これも、匂いがない。
記憶の部屋の引き出しにしまっておいても
香りは隙間からいつの間にか逃げ出して
しばらくぶりに開けてみると空っぽになっている。
そこでまたバラ園に、記憶の採集にいかなくてはならないというわけだ。