パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

薔薇園 rose garden 新宿御苑 2012③

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マーガレットメリルはアイボリーホワイト。
とても品のいい容姿、バラらしいバラ。

強い香り。

 

バラ園ではまず、花の姿形を眺める。
好みの色、形であれば思わず顔を近づけてしまう。

柵越しに一番近い花をそっと引き寄せて香りを見る。

匂いがあるバラならば、もっとよく香りを吸って、「感覚」の部屋にいったんためる。
すると「思考」がやってきて、その香りをよく観察する。、
どこの棚に入れるのがよいか分類をした後、そっと引き出しにしまう。

 

匂いがないバラは、本当に無いのかどうか、もう一度よく香りをすう。
香りが全く無くて、造花のようなものもあれば、

生きている草のような、ほのかな匂いのするバラもある。
しかしそれはバラの匂いではない。

 

 

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ピンクグローテンドルスト。
撫子(なでしこ)のように細かい切れ込みがある。
カーネーションのようでもある。
匂いはない。

まったく匂いがないか、ほんのり匂いがあるくらいのバラは
目を楽しませるが、官能を揺らさない。

 

 

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シャリファアズマ

少女マンガの背景に出てくるよう。
薄いシルクでできた美しい造花のようなバラ。
これも、匂いがない。

 

記憶の部屋の引き出しにしまっておいても
香りは隙間からいつの間にか逃げ出して

しばらくぶりに開けてみると空っぽになっている。

 

そこでまたバラ園に、記憶の採集にいかなくてはならないというわけだ。

 

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