パリのCatherine公園に数本のバラの木が並んでいた。
斜め横のベンチに座って公園を歩く人たちを眺めていると、多くの人がバラに近寄ってその香りを吸う。
何本もある中で、真ん中のピンクの大きなバラ。
その木のてっぺんに咲いているバラだけに顔を近づけている。
お母さんは子供を抱き上げて、おじいさんはその高い鼻を近付けてエレガントに、若い男性も照れることなく。
立ちあがって、私も全部の花の匂いを順番に嗅いでみた。
やっぱり、そのバラが一番いい香りだった。
みんな毎日公園を訪れて、どのバラが素晴らしいか知っているのだ、と気付いた。
さすが、香りの国フランス。
日本で花の香りをかぐ人はとても少ない。
まして男性は。
みんながそうなように、私もバラが大好き。
初めの数年は新宿御苑のバラ園で、ただその姿と香りを楽しんでいた。
バラの名前と香りが一致して、毎年おなじみさんに会うような心安さがあるバラもあれば、香りの印象が違うものがある。
だってたくさん品種があるのだもの、、、記憶違いなのかな?と思いメモを始めた。
別にきばって分類をしたいわけじゃない。
私の鼻の感じ方なのか、花の香りの個性なのか、そこになんとなく興味があったから。
花の蕾から散りかけまでの間に匂いが変わるのは、人間だって同じ。
同じ木に咲く一輪ずつに個体差があるのも、やっぱり同じことだ。
それでも品種による香りの違いはもっとはっきりとした差がある。
いくらきれいでも、匂いのないバラは「女」じゃない。
香りのない女性は、バラになれない。