「ナデシコ」という名は誰でも知っているに違いない。
大和撫子(ヤマトナデシコ)やナデシコジャパンなど、日本女性を指す言葉として日常使われている。
また、切れ込みのある五弁のはなびらのモチーフは、和の小物や浴衣の柄にも使われてなじみのある形である。
しかし、ナデシコがあのカーネーションの仲間だと知っている人の数はちょっと減るだろう。
カーネーションの花びらも、ナデシコのようにギザギザに切り込みがある。
八重百重にしていけば、毬(まり)のようなカーネーションになる。
そしてその花にはクローブのようなややスパイシーで甘い香りがあると、知っている人はもっと少ないのではないか。
カーネーションは見た目ちょっと造花のイメージがあって、匂いがあるって知らない人がいるけれど、とてもいい匂いだ。
このナデシコ科の植物、セキチクやカーネション、クローブピンクなどはオイゲノールというクローブ(丁子)の香りがする。
植物学的には関係ないが、オイゲノールはバラの香りのキーノート(隠し味的に特徴を出す香り)でもある。
夏から秋にかけて咲き続ける。
大和撫子は「一見するとなよなよと優しげだが、里山で逞しく咲く丈夫な野の花」のような女性と言ったら身も蓋もない。
「芯の強い」といういい方が穏当か。