パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

セイヨウバクチノキ Prunus laurocerasus

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西洋博打の木(セイヨウバクチノキ)なんて!

いつものように新宿御苑をさくさく歩いていたら、少し離れたところにちらっと白い花が咲いている木が見えたような気がした。

巻き戻すように後ろに戻って、道をそれ藪(やぶ)にはいると、房状の細かい白い花が確かに咲いている。

ものすごく地味。
でも、こういうのは案外匂いがあるもんだよね。

まだ咲いたばかりの下方の花に近寄って香りを見る。

ああ!やっぱり。甘いクリーミーな匂い。
グリーンのさわやかさと、ジャスミンのような白い花特有の香りがする。

しらなかったなあ、「セイヨウバクチノキ」は、こんな花が咲くんだ。


新宿御苑に日参していても、ちょうどその時期にその場所を通りかからなければ出会えない花がたくさんある。

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しかしなんでこんな名前なのか。
帰って調べたところ、樹皮がぽろぽろむけて、まるで博打打ちが,勝負に負けて丸裸にされるようだから、という。

命名者のセンスがすごい・・・。

この木がサクラ属、というのが意外だけど、別名の「チェリーローレル」の名前のほうがいい感じだ。

葉が月桂樹(ローレル)のようだから、チェリーローレル?

 

さて、翌々日、もう一度香りを確かめようとしたが、今度はフローラルではなく、湿った藁(ワラ)のような、渋く枯れた匂いになってしまっていた。

この日が初めて嗅いだのなら、きっと変な匂いの花と思いこんだことだろう。

だから毎年、繰り返し香りを見ないと植物の本当の匂いはわからないものなのだ。
ましてや本を読んだだけでは。

 

さあみんな、街で公園で、生きている花の香りを見ようよ!

 

➤セイヨウバクチノキ バラ科サクラ属  学名:Prunus laurocerasus

 

 

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