パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

あさがお 朝顔 夏休み

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あさがお。

 

小学校の頃、夏休みの宿題に朝顔の観察日記があった。今でもあるのかなあ?

学校でもらった種を鉢に植えて、双葉から花が咲くまでずっと記録をつけ、最後は花の咲くところを書くのだったと思う。もしかしたら、春に植えて、学校である程度大きくなってから家に持って帰ったのかもしれない?うん十年前のことだからあいまいだ。

夏休みは当然、夜更かし朝寝坊が醍醐味なもんだから、起きたら既に朝顔はしぼんでいる。そこで、友達に家に泊まりに来てもらい、朝顔のつぼみが咲くまで一緒に徹夜で待とうということになった。

おやつを食べながらおしゃべりをしたり、マンガを読んだりして、つぼみの様子を時々見ていたのだけれど、思ったほど変化がなくて、なかなか膨らんでこない。明け方になってついに我慢しきれず二人とも眠ってしまい、あっと思ったらもうお昼。すでに花は萎れていた。

起こしてくれなかった母親を恨んだところで自業自得なので仕方ない。肝心なところは見れなかったので想像で描いた。

絵日記も毎日書かなくてはならず、当然8月30日に40日分を想像で描いた。このころから土壇場における底力が磨かれたのかもしれない。

ちょうどお盆前の今頃はまだヨユウがある。漢字ドリルも計算ドリルのペースも2~3ページ/1日というところだ。中には7月中にすべてを終わらせる猛者(もさ)もいたりするのだが、しかしこの段階では他人ごとである。

あと半月もすると「なぜ私もそうしなかったのか」と悔むことになる、のは自明の理なのに。しかも小学校6年間と少なくとも中学3年間の合わせて9回は繰り返したのが不思議だ。ひとは痛みを忘れることができる動物だから。

あの30日の夜、どうやってあと2日でこのピンチを切り抜けることができるのか、今でいうと「マジヤバイッショ」とでもいうのだろうか?その年齢なりに心底青ざめたものだ。

しかし程度の差はあれ、いくたびも危機というものが訪れ、いずれ去り、日々は過ぎていき、人は乗り越えられない困難はないのだなあと大人になるにつれ理解するようになった。うんうん。

どんな人でも、乗り越えられない危機は死ぬ時、生涯に一度だけだ。

 

 

花事典 アサガオヒルガオ科 サツマイモ属  学名:Ipomoea nil(L)Roth
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