ホタルブクロ。名前のように膨らんでいる。
私の小学校の林間学校は箱根の寮に行く。
そこにはこのホタルブクロがたくさん咲いていて、蛍はこの中から生まれるのだと固く信じていた。
私たちは咲いてしまったホタルブクロを、下からのぞいてみたりもした。
誰かが、それはもう抜けがらで、つぼみの中にはまだ蛍がいるのだと教えてくれた。
もちろん蛍は昆虫だから、植物から生まれたりはしない。
その当時は知らなかったけど、この中に蛍を入れて遊ぶことからその名がついたのだそうだ。
でも蛍が生まれる草だと思っていたほうが、なんだか夢があるなあ。
たとえば・・・。
夏の夕暮れに山道を歩いていると、空はまだ明るいが草深い道はすでに闇が包み始めている。
ランタンのように、大きく膨らんだホタルブクロが足元を照らす。
点々と灯る道しるべの花がぱっと開くと、中から蛍がふわっと飛び始める・・・
なんて、幻想的だと思うのだけど。
山と違って里では5月末から咲く。茶花としても使う初夏の花、もう遅い。
ホタルブクロ キキョウ科 ホタルブクロ属 学名:Campanula punctata Lam