パルファン サトリの香り紀行

調香師が写真でつづる photo essay

山吹(やまぶき)の花のにおい yamabuki

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ヤマブキは晩春から初夏の花だと思っていたが・・・。
いろんな花が、自分の思っていた時期より早く咲く。

学校へ行く通学路、雨にぬれるヤマブキの印象が残っているので、ヤマブキは5月の花のイメージがあった。
もしかして新宿御苑は日当たりがよいので早く咲くのかな・・・。

 

鮮やかな黄色にはっとする。
この日一緒に行った連れが「これが小判の色のヤマブキ色だよ」などとのたまう。
黄金の色は人をワクワクさせるらしい・・・。

 

さてヤマブキには匂いの印象があまりなかったし、実際、よく開いた花は香りが薄い。

しかしちょうど見ごろになったばかりの木からは、ハニーのグリーンノートが漂ってくる。
開きかけのつぼみからは、ちょっと鼻を刺すような青臭さと蜜の粘っこい匂いがする。

ぽつぽつと3月から咲きはじめ、今が満開。

 

 

 

七重八重花は咲けども山吹の(実)みのひとつだになきぞかなしき」中務卿兼明親王

昔は学校で教えられた太田道灌の古事にあるように、ヤマブキは実がならない。

にわか雨に、蓑を貸してほしいと立ち寄った貧しい家で、蓑の代わりに差し出された山吹の花。
その家の少女は「蓑がない」を「実のならない」山吹を渡すことで伝えようとした。

その場では道灌は怒って立ち去ったが、のちに意味を解し、不明を恥じ歌道に励んだとされる。

今では回りくどいと思われるかもしれないが、なんでもあけすけに言えばよいというものではない。
暗喩、比喩、婉曲・・・・奥ゆかしく教養がある。

 

 

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